木島始

木島始：戦後日本の詩壇と児童文学を彩った多才な作家

木島始（きじまはじめ、1928年2月4日 - 2004年8月14日）は、20世紀後半の日本を代表する詩人、英米文学者、翻訳家、そして児童文学作家、作詞家として知られる人物です。本名は小島昭三（こじましょうぞう）。新日本文学会や日本文芸家協会会員として、日本の文壇に深く関わっていました。

1928年、京都府京都市に生まれた木島は、第六高等学校在学中に第二次世界大戦の終戦を迎えました。その後、1947年に東京大学文学部英文科に入学。在学中は学生運動にも積極的に参加し、東京大学新聞の編集にも携わっています。さらに、詩誌「列島」に参加し、発行人として活動するなど、若い頃から創作活動に没頭していました。

1951年に東京大学を卒業した木島は、東京都立北野高等学校で英語教師として教鞭をとりながら、詩作を続けました。1953年には野間宏の跋文を得て処女詩集『木島始詩集』を刊行。その後、専修大学、法政大学で講師、助教授、教授を務め、1991年に退職するまで教育者としても活躍しました。

木島始の作品は、詩に留まりません。ラングストン・ヒューズやナット・ヘントフなど、アメリカ黒人文学やジャズ評論の翻訳にも取り組み、その功績は多大な評価を得ています。詩集や児童文学作品、エッセイなど、多様なジャンルの作品を数多く発表し、日本の文学・文化の発展に大きく貢献しました。

彼の詩作品は、多くの作曲家によって合唱曲として楽譜化され、広く愛唱されています。林光や間宮芳生など、現代音楽の作曲家にも詞を提供するなど、音楽との関わりも深いことがわかります。また、小熊秀雄賞（旭川文化団体協議会主催）の選考委員を務めるなど、後進の育成にも尽力しました。

木島始の才能は、数々の受賞歴からも明らかです。1972年には日本童謡賞（第2回）を「もぐらのうた」で受賞。1982年には文化庁芸術祭大賞（音楽部門・合唱曲の作詩）を「鳥のうた」で受賞しました。1990年には想原秋記念日本私家本図書館賞特別賞（第2回）を「空のとおりみち」で受賞するなど、その業績は高く評価されています。

彼の著作数は膨大で、詩集『木島始詩集』を始め、『四つの蝕の物語』、『ペタルの魂 詩集』など多くの詩集を刊行。児童文学作品では、『考えろ丹太!』、『ぼくらのペガサス』、『かえるのごほうび』、『うりこひめとあまんじゃく』など、子供たちに長く愛される作品を世に送り出しました。

翻訳作品も多岐に渡り、ポール・エリュアール、ラングストン・ヒューズ、ナット・ヘントフ、キップリングなど、著名な作家の作品を日本語に翻訳。児童文学の翻訳にも積極的に取り組み、多くの子供たちに世界の文学作品を紹介しました。これらの作品は、現代においても高い評価を受けており、日本の文学・文化に多大な影響を与えたと言えます。

木島始の長女である小島希里氏も翻訳家として活躍しており、その才能は親子二代に渡って受け継がれています。木島始の生涯と業績は、戦後日本の文学・文化史において、重要な位置を占めるものです。彼の多様な才能と情熱は、今後も多くの人々にインスピレーションを与え続けるでしょう。

もう一度検索