木村屋總本店

木村屋總本店

木村屋總本店（株式会社木村屋総本店）は、明治2年（1869年）に創業した日本の老舗製パン会社です。本社を東京都江東区有明に構え、伝統と革新を重んじながら、日本のパン文化を牽引し続けています。

概要

木村屋總本店は、創業以来、あんぱんをはじめとする様々なパンを製造・販売し、日本の食文化に深く根ざしてきました。現在では、デパートや直営店で販売される伝統的なあんぱんを中心とした「直営店事業」と、スーパーやコンビニエンスストアで販売される袋パンを製造・販売する「スーパー・コンビニ向け事業」の2つを柱としています。特に後者は売上全体の80%を占めており、幅広い層に木村屋の味が届けられています。

銀座にある株式会社銀座木村家（銀座本店）は、木村屋總本店と同じルーツを持つ別会社ですが、明治時代から同じ場所で営業を続けており、1階が店舗、7・8階が工場というインストアショップ形式で、焼きたてのパンを提供しています。銀座木村家は、その歴史と伝統から、「木村屋總本店」と呼ばれることもあります。

歴史

木村屋の歴史は、明治初期に遡ります。1874年（明治7年）には、創業者の木村安兵衛とその次男である英三郎が、酒種酵母を使用したあんぱんを考案しました。翌年には、明治天皇に献上され、その際に、英三郎のアイデアで桜の塩漬けがあんぱんに取り入れられました。この桜の塩漬けは、現在でも木村屋のあんぱんの特徴として親しまれています。1900年（明治33年）には、3代目の儀四郎がジャムパンを考案し、これもまた、木村屋の看板商品の一つとなりました。

また、木村屋は「むしケーキ」の元祖でもあります。従来の蒸しパンを改良し、よりしっとりとした食感と豊かな風味を実現したむしケーキは、多くの人々に愛されています。

製造拠点と販売網

木村屋總本店は、千葉県柏市の直営所併設工場と東京都江東区の東京工場の2つの工場で製造を行っています。かつては神奈川県綾瀬市に藤沢工場がありましたが、2002年（平成14年）に三芳工場へ統合され、操業を終了しました。さらに、その三芳工場も2021年11月をもって柏工場へ業務移管し、閉鎖されました。

製品は、首都圏の百貨店を中心とする21ヵ所の直営店舗のほか、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどで販売されています。直営店舗では「銀座木村家」ブランド、スーパー・コンビニ向けには「木村屋總本店」ブランドが使用されています。

カフェ事業

木村屋總本店は、カフェ事業も展開しており、東京麹町に「Don Meister（ドンマイスター）」、有明に「Don Meister+（プラス）」を運営しています。

沿革

1869年（明治2年）- 木村安兵衛が東京芝日陰町（現:港区新橋付近）に「文英堂」を開業。
1870年（明治3年）- 京橋区尾張町（現:中央区銀座付近）へ移転、屋号を「木村屋」へ改称。
1874年（明治7年）- 酒種あんぱんを発売。銀座に移転し木村屋工場創業。
1875年（明治8年）- 明治天皇へ酒種あんぱんを献上、宮中御用商に加わる。
1900年（明治33年）- ジャムパンを考案し発売。
1930年（昭和5年）- 株式会社に改組、「株式会社木村屋総本店」を設立。
2009年（平成21年）- 株式会社銀座木村家を設立し、銀座本店内の業務を委嘱。
2021年（令和3年）11月 - 柏工場に三芳工場の業務を移管し、三芳工場を閉鎖。

のれん分け

木村屋は、明治時代から多くののれん分けを行ってきました。その中には、現在も各地で営業を続けている店舗も存在します。有名なのれん分け店としては、岡山木村屋や札幌キムラヤなどがあります。

まとめ

木村屋總本店は、創業以来、日本のパン文化を支え続けてきた老舗です。伝統の味を守りながらも、時代に合わせた新しい製品を開発し、常に進化を続けています。そのあんぱんは、日本を代表するパンの一つとして、これからも多くの人々に愛され続けるでしょう。

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