木村殖

木村殖の生涯と業績

木村殖（きむら しげる、1905年 - 1974年12月22日）は、日本の著名な登山家であり、山岳ガイド、並びに山小屋の経営者として知られています。彼は北アルプスの美しい自然に魅了され、上高地に長年定住し、山小屋の経営を通じて多くの登山者たちに助けを求められる存在となりました。特に、第二次世界大戦の前後には、千数百件に及ぶ山岳遭難の救助活動を行ない、多くの命を救いました。

幼少期と教育

木村は1905年、長野県南安曇郡三田村田多井（現在の安曇野市）で生まれました。彼の登山家としての道は、1925年に陸軍第19師団歩兵第75連隊に志願兵として入隊したことから始まります。会寧の国境守備大隊に配置された木村は、兵役中に選抜され陸軍歩兵学校で学ぶことになります。

兵役を終えた後、彼は外交官になることを志し、普通文官試験に向けて勉強を始めます。この時、彼の父親が管理人をしていた上高地の温泉ホテルに住み込みます。ここから木村は、内野常次郎に師事し、山を歩きながら狩猟の技術を学びました。

山小屋経営と遭難救助活動

1933年に上高地帝国ホテルが建設された際、木村はその管理人としての職に就き、近隣に自身の山小屋「木村小屋」を設立しました。この山小屋は、上高地で唯一のもので、登山者たちの中で重要な拠点となりました。木村はその後、山岳遭難救助に尽力し、1956年には北アルブス南部遭難対策協議会が設けられた際、遭難救助隊の隊長を務めました。その後、協議会の機構改革に伴い、救助部長に就任します。

木村の長年にわたる活動が評価され、1963年には警察庁長官から警察協力賞を受賞しました。このような功績により、彼は多くの人から敬愛される存在となりました。

自伝と受章

1969年、木村は自伝『上高地の大将』を出版します。この著作は彼の人生や登山に対する情熱を語るもので、多くの読者に影響を与えました。また、彼は1970年に勲六等単光旭日章の栄誉を受けるなど、その業績が広く認識されました。

最期とその後

1974年12月22日、木村は「木村小屋」にて呼吸困難に陥り、松本市内の国立松本病院へ自衛隊のヘリコプターで搬送されましたが、急性肺炎のため急逝しました。

彼の常駐していた「木村小屋」は、1994年に取り壊され、その跡地には上高地帝国ホテルの従業員宿舎が建設されました。木村の存在は、登山界における重要なマイルストーンとして今も語り継がれています。彼の足跡は、後世の登山者たちに引き継がれていくことでしょう。

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