木村若衛

木村若衛の生涯と業績

木村若衛（きむら わかえ、生年1913年12月29日 - 2005年12月6日）は、神奈川県横浜市出身の著名な浪曲師で、特に関東節の名門である木村派に所属していました。彼はその独自のスタイルと才能で、浪曲界に革新をもたらし、多くの後進に影響を与えました。

初期の生涯と入門

大正12年に発生した関東大震災で左腕に負傷し、家業の造り酒屋を諦めることになります。その後、1928年に初代木村友衛に弟子入りし、友幸の名を名乗ります。7年間の厳しい修行を経て、さらに1年の礼奉公を行い、もう1年は友衛のもとで修行を重ねました。1948年、寿々木米若の成功にあやかり、「若」の字を授かり、若衛と名乗り、25歳で独立を果たしました。彼は浪曲特有の胴声ではなく、美しい上声を用いた「若衛節」を創作し、そのスタイルは後の浪曲師たちに広まっていきました。

洋楽と浪曲の融合

戦時中には、ジャズピアニストの和田肇と共に「歌謡浪曲」を開発し、従来の浪曲の枠を超えた新しい表現を模索しました。戦後は、高い人気と技術を持つ浪曲師として、1958年に日本浪曲協会の会長に就任しました。

主な活動と公演

1957年には、武智鉄二が演出した「きりしとほろ上人伝」に出演し、床読みの技法を取り入れた新しい舞台形式を広めました。また、1961年からはニッポン放送で「漫画浪曲 孫悟空」という番組を放送し、洋楽伴奏や効果音を使用していくつかの革新的な試みを行いました。彼は初代東家浦太郎や四代目天中軒雲月、松平国十郎とともに、戦後の関東四天王の一人として広く知られるようになります。

若衛の得意演目には、「天保六歌撰（河内山宗俊）」、「塩原多助愛馬の別れ」、「小金井小次郎」などがあり、彼の表現力や独特の語り口は、多くの観客を惹きつけました。

文化への contributions

知性と教養、品格を備えた木村若衛は、浪曲協会の会長を務めるだけでなく、日本演芸家連合の会長としても、1978年から20年間その職にあり、演芸界全体への貢献が評価されました。国立演芸場の開場にも尽力し、彼の影響は広範囲にわたりました。1981年には、文化功労者として紫綬褒章を受章し、その業績がさらに評価されることとなります。

木村若衛は、浪曲の魅力を多くの人々に伝え、後世に名を残す伝説的人物となったのです。彼の活動は、今もなお浪曲界に影響を及ぼしており、多くの新しい浪曲師たちの模範となっています。

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