木沢村 (長野県)

木沢村（きざわむら）

木沢村は、かつて長野県下伊那郡に存在した村です。現在の飯田市南信濃地域の一部にあたります。この村は、明治初期の行政再編期から昭和の後期にかけて、独立した自治体、あるいは他の村々と連携する形で存在し、その歴史は約85年間にわたる変遷をたどりました。

歴史的な変遷

木沢村の行政区域としての歩みは、明治維新後の地方制度の急速な変化の中で始まりました。

明治8年（1875年）7月29日

当時の筑摩県伊那郡に位置していた上村、木沢村、和田村、そして八重河内村の四つの村が統合され、新たに遠山村（初代）が発足しました。これは、より広域的な行政単位を設ける試みの一環と考えられます。木沢村は一旦、この新しい遠山村の一部となりました。

明治9年（1876年）8月21日

筑摩県が廃止され、その区域の多くが長野県に編入されたことに伴い、遠山村（初代）も長野県の管轄下に移管されました。

明治12年（1879年）1月4日

郡区町村編制法が施行されると、地方行政の単位が明確化され、遠山村（初代）は長野県下伊那郡に所属することになりました。この頃までに、現在の都道府県や郡の枠組みが固まりつつありました。

明治14年（1881年）4月14日

一度合併によって消滅していた上村が、遠山村（初代）から分離独立する形で再び成立しました。これは、地域の実情や住民の意向などを反映した再編の動きであったと推測されます。

明治15年（1882年）2月16日

さらに、遠山村（初代）は解体され、かつて合併する前の村々が再び独立した自治体として歩み始めることになりました。この時、木沢村も和田村、八重河内村と共に再分立を果たし、単独の村としての形を取り戻しました。

明治22年（1889年）4月1日

近代的な地方自治制度の基礎となる町村制が施行されると、木沢村はそのまま単独の自治体として存続することを決定しました。しかし、小規模な自治体では行政サービスに限界があることから、隣接する上村、和田村、南和田村、八重河内村と共同で行政事務を処理するための組織として、「和田村外4箇村組合」を結成しました。これは、当時の地方自治体で広く見られた行政組合の形態です。

昭和25年（1950年）3月28日

第二次世界大戦後の地方自治のあり方が見直される中で、木沢村は「和田村外4箇村組合」から脱退することを決定しました。これにより、木沢村は完全に単独での行政運営を行うことになります。

昭和35年（1960年）4月1日

木沢村は、その自治体としての歴史の最終章を迎えました。この日、木沢村は隣接する遠山村（こちらは初代とは異なる、この時点での遠山村を指します）と合併し、新たな自治体である南信濃村が誕生したためです。この合併により、木沢村は廃止され、約78年にわたる村の歩みに終止符が打たれました。

木沢村が存在した地域は、現在、飯田市の南信濃地域の一部としてその歴史を引き継いでいます。

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