木津川橋梁 (近鉄京都線)

木津川橋梁（きづがわきょうりょう）

木津川橋梁は、京都府城陽市と京田辺市の間に架かるプレートガーダー橋で、鉄道専用に設計されたものです。奈良電気鉄道が自社の鉄道路線の開通に際し、必要に迫られて建設したこの橋は、現在も近畿日本鉄道京都線として利用されています。

建設の背景と経緯

奈良電気鉄道が京都と大和西大寺を結ぶ路線を計画する過程で、2カ所の大河を越える必要がありました。一つは淀川の本流である宇治川、もう一つは淀川の支流である木津川です。特に木津川は青山高原から流れ込み、伊賀盆地で西へ方向を変えた後、京田辺市から八幡市へと流れ込んでいます。このことから、いずれの地点で橋を架けるにしても長大な橋の架設が不可欠であると判断されました。

技術者たちは、木津川が大きく向きを変える地点、具体的には久世郡富野荘村と綴喜郡田辺町の間を選定しました。ここに松尾鉄骨橋梁が提供するプレートガーダー桁を使用して70フィートの構造を21連、30フィートの形鋼桁を1連設置することに決定しました。

橋梁の構造

木津川橋梁は上路式の単線プレートガーダー桁が2列に配置されたシンプルな構造を持っています。この橋の設計は当時としては一般的なものであり、リベットで組み立てられた鋼板を使用しています。各桁は片側に3つに分割されており、組み立て作業は効率的に行われました。具体的には、まず河中に足場を組み、3枚のパネルを橋脚の上に引き上げた後、結合部で仮に支えられることで作業が進められます。

また、桁を支える橋脚は鉄筋コンクリート製で、オープンケーソン工法が用いられています。この方法は、あらかじめ外径2.44m、厚さ203.2mmのコンクリート筒を設置し、上から荷重をかけつつ内部を掘削して沈下させるもので、橋脚の安定性を確保するために工夫されています。

現在の状況

木津川橋梁は、奈良電気鉄道が近畿日本鉄道に統合された際にも、その重要性から京都線に引き継がれました。2020年時点でもこの橋はほとんど完成当初の姿を保ちながら、現役で利用されています。この橋梁は、澱川橋梁や伏見高架橋と並んで奈良電気鉄道線の重要なインフラとして機能し続けています。

参考文献

• - 浅井 郁爾.「奈良電気鉄道建設工事に就て」（PDF）『土木建築工事画報』第5巻第2号. 1929年.
• - 関場 茂樹・浅井 郁爾・江田 良治.「澱川橋梁工事報告概要」（PDF）『土木学会誌』第16巻第8号. 1930年.
• - 高山 禮蔵.「奈良電の時代 奈良電気鉄道の開業から合併まで」『鉄道ピクトリアル1992年12月臨時増刊号』. 1992年.

このように木津川橋梁は、歴史的にも技術的にも価値のある構造物として、地域の交通網の発展に寄与してきました。

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