未完成 (はしだのりひことシューベルツのアルバム)

はしだのりひことシューベルツのデビューアルバム『未完成』：1969年のフォーク・サウンド

1969年6月10日、はしだのりひことシューベルツのデビューアルバム『未完成』が東芝EMIよりリリースされました。このアルバムは、グループのメンバーであった井上博が参加した唯一の作品として、日本の音楽史において重要な位置を占めています。

本アルバムは、フォーク色の強い楽曲が中心です。全13曲はA面とB面に分けられており、それぞれの楽曲に個性的なアレンジが施され、聴き応えのある内容となっています。複数のメンバーがボーカルを担当しており、それぞれの持ち味を生かした歌声が、楽曲に深みを与えています。

特に注目すべきは、メンバーそれぞれの個性豊かなボーカルワークです。端田宣彦、井上博、杉田二郎、越智友嗣と、各メンバーが持ち前の歌唱力を発揮し、楽曲の世界観を彩っています。それぞれのソロパートだけでなく、複数メンバーによるハーモニーも聴くことができ、聴く者を魅了する魅力的なサウンドを生み出しています。

アルバム収録楽曲は、作詞作曲においても複数のメンバーが参加しています。北山修、端田宣彦、杉田二郎、越智友嗣らが作詞作曲に関わっており、多様な視点と感性が反映された楽曲群となっています。編曲は青木望とありた・あきらが担当し、フォークサウンドを基調としながらも、洗練されたアレンジが楽曲の魅力を高めています。

『未完成』は、発売当初は大きな話題にはなりませんでした。しかし、井上博の死去後、翌1971年に再発されたETP-8081盤で初めてチャートインを果たします。この出来事によって、本作の音楽的な価値が見直され、現在では日本のフォーク史における重要な作品の一つとして認識されています。

収録曲は、日本の情景を思わせるものから、普遍的なテーマを歌ったものまで、多様な楽曲が収録されています。例えば、「日本の旅」は、日本の各地の情景を彷彿とさせる壮大な楽曲で、複数のボーカルが重なり合うことで、より深い表現力を実現しています。「夕陽よおやすみ」は、しっとりとしたメロディーと切ない歌詞が印象的で、聴く者の心に深く響くでしょう。「風の天使」は、井上博が作曲を担当した楽曲で、彼の才能を存分に見せつける、力強くも繊細な一曲です。

『未完成』は、単なるデビューアルバム以上の意味を持ちます。はしだのりひことシューベルツの音楽性の高さを示すだけでなく、日本のフォークミュージック史に大きな足跡を残した作品と言えます。その音楽性は、現代においても色褪せることなく、多くのリスナーを魅了し続けています。

主な収録曲

風: 端田宣彦と井上博によるボーカルが印象的な、爽やかな楽曲。
日本の旅: メンバー全員がボーカルで参加し、スケールの大きな楽曲。
まわるメリーゴーランド: 越智友嗣のボーカルが可愛らしい、テンポの良い曲。
夕陽よおやすみ: しっとりとしたメロディーと、端田宣彦と杉田二郎のボーカルが織りなす、美しいハーモニーが魅力。
ア・ボーイ・ライクス・ア・ガール: 英語詞の楽曲で、軽快なリズムが特徴。
海はきらいさ: 端田宣彦のソロボーカルによる、力強い楽曲。
マイ・ハート: 杉田二郎と越智友嗣によるボーカルが、心に響くバラード。
さすらい人の子守唄: 端田宣彦と井上博によるボーカルが、郷愁を誘う楽曲。
花にうもれた恋: 杉田二郎と越智友嗣によるボーカルが、切ない恋心を表現。
ピンクの戦車: メンバー全員が参加し、独特な世界観を表現した楽曲。
風の天使: 井上博の作曲による、力強いソロボーカルが光る楽曲。
娘はどこへ: 端田宣彦のソロボーカルによる、叙情的な楽曲。
* 何もいわずに: 杉田二郎と越智友嗣による、しっとりとしたハーモニーが美しい楽曲。

『未完成』は、日本のフォークミュージック史に残る名盤として、高く評価されています。その音楽性は、時代を超えて多くのリスナーに愛され続けており、これからも聴き継がれていくことでしょう。

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