はしだのりひことシューベルツ

はしだのりひことシューベルツ：フォーク界の星、その輝きと影

1968年の秋、日本の音楽シーンに新たな星が誕生しました。ザ・フォーク・クルセダーズの端田宣彦を中心に結成されたグループ、はしだのりひことシューベルツです。グループ名は、端田自身の名前と、「シューベルト」と「Shoe Belts（靴のひも）」を掛け合わせた、遊び心のあるネーミングです。

メンバー：個性豊かな才能の集結

このグループを彩ったのは、個性豊かなメンバーたちでした。

端田宣彦（元ザ・フォーク・クルセダーズ）: リーダーであり、ボーカル、ギター、パーカッションを担当。作曲も手掛け、グループの中核を担いました。フォーククルセダーズの解散後、新たなグループ結成に意欲的だったようです。
越智友嗣（元ザ・ヴァニティー）: 優しい歌声と、ギター演奏が特徴的でした。ステージ上でのトークも巧みで、クラシックからロック、コミックソングまで幅広い作曲能力も持ち合わせていました。
杉田二郎（元ジローズ）: グループの事実上のメインボーカルとして活躍。リードギターも担当し、作曲も手掛けました。
井上博（元ザ・ヴァニティー）: 長身で端麗な容姿から女性ファンが多く、ベースとボーカルを担当。ウッドベースを演奏しながらも力強く、ヨットを趣味にするなど、多彩な一面を持っていました。しかし、1970年3月に惜しまれつつも亡くなりました。

メンバーは、端田を除き、同志社大学と立命館大学の学生で構成されていました。端田の後輩である越智と井上、そして異なる大学出身の杉田という、バラエティ豊かなバックグラウンドを持つメンバーが集結したのです。

活動と軌跡：華々しいデビューから突然の終焉

はしだのりひことシューベルツは、フォーククルセダーズの解散コンサートへの出演から始まりました。「風」「何もいわずに」「サウンド・オブ・サイレンス」など、初期のレパートリーは、フォーク音楽ファンを魅了しました。

1969年1月、デビューシングル「風／何もいわずに」は、大ヒットを記録。第11回日本レコード大賞新人賞を受賞するなど、その人気は瞬く間に広まりました。その後も「さすらい人の子守唄／夕陽よおやすみ」などヒット曲を連発し、アルバム「未完成」を発表するなど、勢いは止まるところを知りませんでした。しかし、1970年3月、井上博の急逝という悲劇に見舞われます。

この悲しみを乗り越えようとした矢先、4月にグループの解散が決定。井上博への追悼シングルと解散記念シングル計4枚を同時発表し、同年6月には最後のアルバム「天地創造」を発表、活動に幕を閉じました。

エピソード：成功と苦悩、そしてメンバー間の関係性

彼らの活動には数々のエピソードが残されています。杉田二郎がリードボーカルを務めることが多く、楽曲によってボーカルが変わるパターンが特徴的でした。「さすらい人の子守唄」のテレビ出演では、放送事故も発生しています。また、3枚目のシングルでは、寺山修司への作詞依頼も検討されましたが、諸事情により実現しなかったという逸話もあります。

メンバー間の関係性は、時にユーモラスなエピソードに彩られています。井上博が端田宣彦を「いやらしいチビ豚」と呼んだり、杉田二郎が越智と端田のコンビを「デブとチビ」と呼んだりするなど、親密な関係性が垣間見えます。しかし、その関係性が、グループ運営や音楽性にも影響を与えた可能性も考えられます。

また、レコード大賞新人賞受賞により出場が予定されていたNHK紅白歌合戦を、越智友嗣の行動により出場できなくなったという出来事もありました。

解散後：それぞれの道へ

解散後、メンバーはそれぞれソロ活動や新たなグループを結成し、音楽活動を継続しました。端田宣彦は、はしだのりひことマーガレッツ、はしだのりひことクライマックスなど、様々なグループを結成し、音楽活動を続けました。杉田二郎はソロ活動やジローズでの活動などを経て、現在も活動を続けています。越智友嗣もソロ活動や様々なグループで活動し、シューベルツ.COMというグループで再結成を果たしたこともありました。

まとめ：短くも濃密な軌跡

はしだのりひことシューベルツは、わずか2年間という短い活動期間でしたが、その輝きはフォーク音楽史に深く刻まれています。才能豊かなメンバーが集結し、数々の名曲を世に残したグループは、その活躍だけでなく、数々の逸話、そしてメンバー間の関係性も含め、今なお語り継がれる存在であり続けています。彼らの音楽は、時代を超えて多くの人々の心に響き続けることでしょう。

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