末松広行

末松広行について

末松広行（すえまつ ひろゆき）氏は、1959年5月28日生まれの日本の官僚、教育者です。東京農業大学総合研究所特命教授を務めています。農林水産省では、関東農政局長、農村振興局長、経済産業省では産業技術環境局長などを歴任し、最終的には農林水産事務次官にまで上り詰めました。

人物

埼玉県浦和市（現さいたま市）出身。県立浦和高校時代は剣道部に所属していました。高校の同級生には、農林水産省技術総括審議官の菱沼義久氏、元外交官・作家の佐藤優氏、Jリーグの村井満氏らがいます。1983年に東京大学法学部を卒業後、農林水産省に入省。1998年には農水大臣秘書官を務めました。

2000年には農林水産省食品流通局企画課食品環境対策室長に就任し、2002年からは内閣参事官として小泉政権下の総理官邸に出向しました。その後、2006年に大臣官房環境政策課長、2008年に大臣官房食料安全保障課長、2010年に林野庁林政部長、2014年に関東農政局長、2015年に農村振興局長を歴任しました。特に、農村振興局長時代には、諫早湾干拓事業における堤防問題で陣頭指揮を執りました。

2016年には、農林水産省と経済産業省の間で初の局長級人事交流が行われ、末松氏は経済産業省へ出向し、産業技術環境局長に就任。工業標準化法を産業標準化法に改正し、経産省の人工知能研究政策や地球環境政策を統括しました。

2018年、59歳で農林水産事務次官に就任。これは、水産庁や林野庁の長官から昇格する慣例を破る異例の人事でした。この人事は、日本の農政が抱える問題点を抜本的に改革する目的があったとされています。農水省での勤務の傍ら、大学で客員教授として講義を行ったり、グロービス経営大学院のシンポジウムで農業の産業化について講演するなど、既成概念にとらわれない行動力も持ち合わせています。

事務次官就任前から、「頑張らない農協は淘汰されるべき」と発言しており、競争を通じて農業が発展すると考えていました。事務次官になってからも、諫早市市長の宮本明雄氏らと連携し、訴訟問題や有明海の漁業再生に尽力しました。

2020年8月に農林水産事務次官を退任。現在は、大学教授として教鞭を執る傍ら、フードデリバリーサービス協会代表理事（無給）や企業の顧問を務めるなど、多方面で活躍しています。

略歴

1959年5月 - 群馬県富岡市で生まれ、埼玉県浦和市で育つ。
1975年4月 - 埼玉県立浦和高校入学
1978年4月 - 東京大学文科一類入学
1983年3月 - 東京大学法学部卒業
1983年4月 - 農林水産省入省
1998年 - 農林水産大臣秘書官
2000年 - 農林水産省食品流通局企画課食品環境対策室長
2002年 - 内閣官房内閣参事官
2006年 - 農林水産省大臣官房環境政策課長
2008年 - 農林水産省大臣官房食料安全保障課長
2009年 - 農林水産省大臣官房政策課長
2010年 - 林野庁林政部長
2014年 - 農林水産省関東農政局長
2015年 - 農林水産省農村振興局長
2016年 - 経済産業省産業技術環境局長
2018年7月 - 農林水産事務次官
2020年8月 - 農林水産省退官
2021年1月 - マイファーム監査役、東京農業大学特命教授
2021年2月 - 日本フードデリバリーサービス協会代表理事
2021年4月 - 東京大学客員教授
2021年6月 - SBIホールディングス取締役、ネクシィーズグループ取締役

著書

『食料自給率の「なぜ？」』扶桑社 2008年 ISBN 978-4594058241
『解説 食品リサイクル法』大成出版社 2008年 ISBN 978-4802805742
『逐条解説 公共建築物等木材利用促進法』大成出版社 2011年 ISBN 978-4802830072

挿話

音楽を趣味としており、キーボードやドラム演奏を嗜みます。川崎汽船社長の明珍幸一氏らとバンド「GIOTTO（ジオット）」を組んでいます。農林水産事務次官時代には、農林水産省のYouTubeチャンネル「BUZZ MAFF」のジングル演奏も手がけています。

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