本多忠可

本多忠可：山崎藩を救った改革者

本多忠可（ほんだ ただよし）は、江戸時代中期に播磨国山崎藩の第5代藩主として活躍した人物です。越前丸岡藩主・有馬孝純の次男として生まれましたが、山崎藩主・本多忠堯の急逝を受け、その養女である熊姫と結婚し、藩主の座を継承しました。政信系本多家6代当主にあたります。

藩政改革への取り組み

忠可が藩主となった当時の山崎藩は、財政が破綻寸前の危機的な状況でした。そこで忠可は、安永4年（1775年）に中級藩士であった佐藤善五右衛門を家老に抜擢し、大胆な藩政改革に着手します。

その改革は、単なる財政再建にとどまりませんでした。心学を奨励し、武士だけでなく領民への教育を普及させました。また、藩士からの借り米を半減させ、徹底した倹約を実行する一方で、株仲間を公認するなど、領民の経済活動を活性化させる政策も打ち出しました。

これらの改革は目覚ましい成果を上げ、山崎藩の財政は大きく改善しました。天明の大飢饉が発生した際には、忠可と佐藤の手腕によって被害を最小限に食い止めることができたと言われています。

寛政の改革への参与

忠可の藩政改革の手腕は、松平定信にも認められ、寛政の改革では大番頭として幕政に参与しました。天明8年（1788年）に長男の忠居に家督を譲り隠居しましたが（近年では隠居していないという説もあります）、その後も藩政の実権を握り続けました。

寛政6年（1794年）閏11月晦日、忠可は54歳でその生涯を閉じました。

系譜

父：有馬孝純（1718-1757）
母：不詳
養父：本多忠堯（1737-1761）
養母：於鷹 - 相良長在の娘
正室：熊姫 - 本多忠堯の養女、本多忠辰の娘
長男：本多忠居（1771-1819）
生母不明の子女
女子：太田資順継室

本多忠可は、藩政改革を通じて山崎藩を立て直し、領民を救済した名君として、その名は歴史に刻まれています。

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