本川達雄

本川達雄の業績と生涯

本川達雄は1948年4月9日に宮城県仙台市に生まれた日本の生物学者であり、シンガーソングライターでもあります。彼は東京工業大学の名誉教授で、動物生理学を専門としています。彼の父は生理学者であり、後に東北大学の総長となった本川弘一です。彼は仙台第一高等学校を経て1971年に東京大学理学部生物学科（動物学）を卒業しました。大学卒業後は東京大学の助手、琉球大学助教授、デューク大学客員助教授などを歴任し、1991年から2014年まで東京工業大学で教授として教鞭を執りました。

研究活動

本川の研究は、主にキャッチ結合組織に焦点を当てています。この結合組織は、硬さが急速に変化する特異な構造を持ち、棘皮動物に特有のものです。彼は、この組織が棘皮動物のすべての綱において働くことを示し、硬さ変化のメカニズムやその神経制御の研究を通じて専門の分野を開拓しました。彼の研究は、世界の棘皮動物学者の間で高く評価されており、無脊椎動物学の教科書や動物生理学の名著にも彼の業績が紹介されています。また、日本で初めて棘皮動物研究集会を立ち上げたのも彼でした。

彼の琉球大学での経験や東京工業大学での教授職は、一般教育にも多く関与しており、「良い社会人になるための生物学」というテーマで授業を行い、その講義録を一般向けの書籍として出版しています。その中には、アロメトリー（生物のサイズにまつわる研究）をわかりやすく解説したベストセラー『ゾウの時間 ネズミの時間』があります。彼は高校の生物教科書や参考書の執筆も手掛け、小学校の国語の教科書にも業績が掲載されるなど、幅広い読者層に影響を与えてきました。

歌う生物学者

本川は「歌う生物学者」としての顔も持ち、琉球大学在職中に音楽を通じたユニークな教育を展開しました。彼はキャンパスで地元の音頭を歌い、講義内容をまとめた歌も制作しました。1983年には彼の創作した歌をカセットテープに収めて配布し、さらに『歌う生物学 必修編』として、70曲入りCDを付録にした書籍を出版しています。この作品はアメリカの科学雑誌にも取り上げられました。彼の影響力は受験参考書や高校生物の教科書にも及んでおり、その中には彼自身が作った歌が掲載されています。

メディアへの出演と音楽活動

彼はテレビ番組にも頻繁に出演し、その中では自作の歌を披露しています。NHKの『爆笑問題のニッポンの教養』や『徹子の部屋』では、彼のユーモラスな楽曲が視聴者に受け入れられました。また、NHKラジオでは「歌う生物学」というコーナーを持ち、毎月新曲を披露しています。

著書と業績

彼の著作は多岐にわたり、専門書だけでなく一般向けの書籍も多く手掛けています。『ゾウの時間 ネズミの時間』や『サンゴ礁の生物たち』などは、動物生理学や生物の適応についての重要な知見を提供し、広い分野で影響を与えています。その活動や業績に対しては、講談社出版文化賞や日本動物学会教育賞など多くの賞を受賞しています。

まとめ

本川達雄は、生物学的知識を音楽と結びつけ、教育現場でも独自のアプローチを展開したことで、幅広い層への理解促進に寄与してきました。彼の研究や著作、音楽活動は、今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

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