本庄保険金殺人事件とは？意味をやさしく解説

本庄保険金殺人事件

本庄保険金殺人事件は、埼玉県本庄市で発生した、保険金殺人を目的とした連続殺人事件です。この事件は、「本庄事件」や「さいたま本庄事件」とも呼ばれています。

事件の概要

事件の主犯は、本庄市内で金融業を営んでいた男Y。彼は、自身の経営するパブやスナックで働くホステス3人（T、M、A）に、客と偽装結婚させ、保険金目当ての殺人を3度実行しました。

事件の発覚

1999年7月、3件目の事件で殺害を免れた被害者がマスコミに告発したことで、この事件は世間に広く知られることになりました。当時、和歌山毒物カレー事件から1年足らずという状況も重なり、社会的な注目度は非常に高いものでした。

異様な記者会見

Yは、疑惑発覚から逮捕されるまでの約8ヶ月間、自身の店で有料の記者会見を203回も開催しました。1回の入店料は3,000円から6,000円で、総額約1,000万円を稼ぎ出しました。会見内容は、自身の潔白を訴えるものが多かったものの、記者との雑談やカラオケ、さらには射撃の披露など、奇妙な行動も多く見られました。また、激昂したYが毎日新聞の記者を殴打するという事件も発生しています。

捜査の難航と逮捕

当初、状況証拠は揃っていたものの、物証がなかったため捜査は難航しました。しかし、最終的にホステス3人の証言をきっかけに、2000年3月、Yとホステス3人は偽装結婚による公正証書原本不実記載容疑で逮捕されました。その後、殺人罪や詐欺罪などで起訴されました。

裁判と判決

Yは2008年に最高裁で死刑が確定し、現在も東京拘置所に収監されています。しかし、再審請求を続けています。ホステス3人のうち、Tには無期懲役、Aには懲役18年、Mには懲役12年の有罪判決が確定しました。ただし、弁護団はホステスの証言が警察に誘導されたものであり、冤罪であると主張しています。

事件の詳細

第1の事件

1995年6月、元工員の男性（当時45歳）に対し、Yは「過労死作戦」や「成人病作戦」と称して、長期間にわたり大量のアルコールを飲ませ、睡眠不足となるよう仕向けました。さらに、トリカブトを少量ずつ混ぜた饅頭やどら焼きを継続的に食べさせました。しかし、男性がなかなか衰弱しなかったため、最終的に致死量のトリカブトが入ったあんパンを食べさせ殺害しました。その後、男性は利根川で水死体として発見され、偽装結婚相手のホステスAに3億円の保険金が支払われました。この事件では、生命保険会社がYとホステス3人に対し保険金返還の民事訴訟を起こし、返還が命じられました。Y側は、男性の死因は自殺であると主張しました。

第2の事件

1999年 5月29日、元パチンコ店員の男性（当時61歳）に対し、風邪薬と酒を大量に飲ませて殺害しました。この事件でも、偽装結婚相手のホステスを受取人として1億7000万円の保険金がかけられていました。

第3の事件

1999年 5月30日、元塗装工の男性（当時38歳）が薬物中毒に陥り一時重体となりました。この事件でも、偽装結婚相手のホステスを受取人として9億円の保険金がかけられていました。しかし、男性が体調不良を訴えて入院したため一命を取り留めました。男性は、意図的なものであると察知し、「このままでは殺される」とマスコミに告発したことが、事件発覚のきっかけとなりました。

風邪薬の危険性

なお、風邪薬の主成分であるアセトアミノフェンを大量に摂取し、急性肝不全で死亡した事例が1989年に報告されており、風邪薬の過剰摂取が危険な行為であることが示唆されています。

本庄保険金殺人事件