本庄時家

本庄時家の生涯と本庄氏の成り立ち

本庄時家（ほんじょう ときいえ）は、鎌倉時代前期に活躍した武将であり、武蔵国の児玉党の重要な人物です。時家は児玉党本宗家の5代目、庄太郎家長の四男として生まれ、通称は四郎と呼ばれていました。彼は左衛門尉という官位を持ち、一時は官職に就いていましたが、その後解雇されてしまいました。時家は北堀に居館を構え、おそらく「北堀丹波守時家」という名でも知られていました。

本庄氏の名の起源について

本庄氏という名の由来には、深い背景があります。児玉党本宗家は、庄小太郎頼家が一ノ谷の戦いで戦死した後、家長が三男の三郎右衛門家次を養子として迎えました。家次は備中国へ転任し、結果的に一族は備中庄氏と化しました。こうした流れの中、四男時家が祖地を守るために本庄を名乗ることになりました。この「本庄」という名称は、単に「庄氏の本地」を意味するのではなく、「自らの拠点を守った庄氏」を指していると考えられています。現在の埼玉県本庄市北堀にある本田館が、彼の居場所だったとされています。

本庄氏の初見

文献に登場する本庄時家の名は、『吾妻鑑』に見られます。例えば、安貞3年（1229年）と貞永2年（1233年）の年始の儀式において「本庄四郎左衛門尉」と記されたのが初の確認例です。また、嘉禎4年（1238年）には鎌倉幕府の将軍藤原頼経が京都に向かう際、時家が随兵として記載されています。これらの記録から、時家が13世紀中頃には既に本庄氏を名乗っていたことが明らかになっています。

実質的な本宗家の継承

家次の子供、朝次は児玉郡での所領を相続しなかったため、時家が児玉党本宗家の実質的な8代目と見なされます。しかし、栗崎の支配には20年を要し、その間に家次の子が権利を主張していなかったことが、時家の地位を確立することにつながりました。時家は特に『吾妻鏡』に多くの記載があり、その存在感も感じられます。

馬盗人の事件

時家はその名声と裏腹に、仁治2年（1241年）に馬盗人として非難されています。彼が小林小次郎時景の家来から馬を奪ったとの訴えがあり、この事件は『吾妻鏡』にも記されています。この事件によって、時家は鎌倉に召喚され、所領を没収された経緯があります。このような行為は、彼が本宗家の守護であったことを疑わせる出来事であったため、時家の reputational には影を落としました。

最後の記録

時家の名が記された最後の文献は、建長2年（1250年）の『吾妻鏡』にあります。この時期には兄の名前も登場し、時家が京都に出向いていたことが示されていますが、その後の明確な記録は残っておらず、彼の死去時期も推測の域を出ません。

本庄氏の系譜の不明

14世紀の合戦により、本庄氏の系譜が明確でなくなったことも影響し、時家以降の系譜は散逸しています。彼の曾孫、本庄左衛門太郎国房の名は残っているものの、系図の信憑性には疑問が残ります。時家が祖であるとする系図も確認されますが、彼が「罪人」であったことは避けられない事実として残ります。これにより、本庄氏の系譜は複数の解釈を生み出しましたが、いずれの系譜でも時家の存在は明記されないことが多いのです。

本庄時家は、鎌倉時代における重要な武士ながらも、その活動や過去には多くの謎が残されている魅力的な人物です。彼の経歴には名誉と恥両方の側面が見られ、その影響は本庄氏の運命にも色濃く反映されていると言えるでしょう。

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