本朝書籍目録

本朝書籍目録について

本朝書籍目録（ほんちょうしょじゃくもくろく）は、鎌倉時代後期に作成された和書の分類目録であり、現在残る最古の例です。この目録は日本の文献や文化の歴史において重要な資料とされています。目録には、書籍が493点あり、これらは20の部門に分けられています。各部門には、神事や帝紀、公事、政要、氏族、地理、類聚、字類、詩家、雑抄、和歌、和漢、管弦、医書、陰陽、伝記、官位、雑々、雑抄、仮名などが含まれています。これにより、当時の書籍の内容や分類方法が分かる貴重な情報が詰め込まれているのです。

目録の元となる記録は、仁和寺宮本に由来し、仁和寺（御室寺）との関係が深いことが示されています。編者は確定していないものの、滋野井実冬（1243-1303）が有力視されています。しかし、どのような理由で彼が関与したのか、または他の人物の影響があったのかには諸説あります。特に、和田英松は、目録が蓮華王院宝蔵の蔵書と関連している可能性を示唆しています。

また、当目録は、その使われていた時代背景や、編纂時期についても多くの研究がなされています。例えば、五味文彦は滋野井実冬が資料を収集した過程で彼の家の蔵書が相关していたと考えています。久保木秀夫は、さらにこの目録に中原氏が関与している可能性についても検討を行いましたが、未だ決定的な結論には至っていません。

各部門についての詳細

本朝書籍目録には、書名が記載されている部門もあれば、具体的な書名が欠如している部門もあります。例えば、「和歌」部門には「勅撰以下別に目録有り」と記されているものの、具体的な書名は提示されていません。このことは、当時の和歌に関する文献が他に存在し、その記録が失われた可能性を示唆しています。

さらに「仮名」部門には、物語や日記文学、説話集に関する書名が含まれていますが、『竹取物語』や『牛若物語』、さらには『土佐日記』や『更級日記』が欠落していることがわかります。このような記録は、当時の文学の多様性を理解する上で重要ですが、完全な形で残されていないことは非常に残念です。

仏教に関する書物がこの目録に含まれていないことも注目すべき点です。これにより、当時の宗教的関心や文化の偏りが推察されます。

研究の現状と重要性

本朝書籍目録は、和書や古文書に関する研究において重要な資料とされています。初めての包括的な考証がなされたのは明治時代の1936年で、和田英松が執筆した『本朝書籍目録考証』がその代表例です。このような研究を通じて、目録の成立やその背後にある文化的背景が明らかにされ、今後の日本文学や資料研究の発展に寄与する重要な資料として位置づけられています。

このように、本朝書籍目録は歴史的な文献であるだけでなく、当時の日本の文学や文化を理解するための基盤となるものです。無くなってしまった書名や文献、その成立の過程は今後も研究されるべきテーマと言えるでしょう。

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