本渓湖炭鉱

本渓湖炭鉱（ほんけいこたんこう）

本渓湖炭鉱は、中国遼寧省本渓市に位置する炭鉱です。20世紀初頭に日本の大倉財閥によって開発が開始され、その後、日清合弁企業が経営を引き継ぎました。ポツダム宣言受諾後は接収、一時閉鎖されましたが、中華人民共和国建国後に再開され、現在は本渓鋼鉄集団有限責任公司が経営を行っています。

歴史

大倉組による開発と電力事業

1906年1月、大倉組（後の大倉財閥）が『大倉炭鉱会社』を設立し、第一杭を開坑しました。1910年11月までに第三杭まで開坑し、炭鉱で使用する電力供給設備を新設。1909年からは周辺地域への電力供給も開始しました。

日清合弁企業「本渓湖煤鉱有限公司」の設立

1910年5月、鉱山事業と電力事業を統合する形で、日清合弁企業『本渓湖煤鉱有限公司』が設立され、大倉組から採炭事業と電力事業が引き継がれました。その後、製鉄業にも進出し、1911年に『渓湖煤鉄有限公司』へ改称しました。

第一次世界大戦と満州国時代

第一杭から第三杭で採掘された石炭は、主に同社の関連事業で使用されました。1915年4月には、市街地の一般消費者への電力供給も開始し、ドイツ製や日本製の発電設備を導入しました。第一次世界大戦による製鉄業の好況により、1920年頃までは採炭量が増大しましたが、戦後の世界経済の不況により産出量は低下しました。1923年には、第一杭の採炭量が一定量に達したため、新たな開坑が検討され、1926年に柳塘杭、1927年に第四杭での採炭が開始されました。満州国建国後は、満州国の合弁企業となり経営が継続されました。1935年には子会社として本渓湖洋灰股份有限公司が設立されました。

本渓湖炭鉱爆発事故

1942年4月26日14時5分、本渓湖炭鉱で、可燃性ガスと石炭の粉塵による大規模な爆発事故が発生しました。この事故により、当日働いていた坑夫の34%にあたる1,549人が死亡しました。これは、現在に至るまで世界最悪の炭鉱事故として記録されています。戦後、ソ連が行った調査によると、死亡の主原因は爆発そのものではなく、直後に換気装置が閉じられたことによる一酸化炭素中毒であったとされています。事故現場には、中国政府によって「肉丘墳」が建てられました。

第二次世界大戦後

第二次世界大戦後は、本渓鋼鉄集団有限責任公司が経営を行っています。

関連項目

* 本渓鋼鉄

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