本澄寺 (高槻市)

本澄寺：歴史と文化が息づく日蓮宗寺院

大阪府高槻市上牧町に位置する本澄寺は、法華山を山号とし、日蓮宗に属する由緒ある寺院です。京都の妙満寺を旧本山とし、莚師法縁に連なる本澄寺は、真如院と本立院という二つの塔頭を擁しています。

歴史と由緒

本澄寺の創建は文明3年（1471年）に遡ります。烏丸大納言資任の猶子であった権大僧都日順によって開山されました。本寺で最も重要な文化財は、日蓮聖人自ら刻まれたと伝えられる祖師像です。「上牧の高祖」として尊崇を集めるこの像は、鎌倉で制作された後、幾多の転々を経て、元亀元年（1570年）に当地の豪族、富松兼重によって祀られることとなりました。江戸時代初期には東福門院の祈願寺となり、多くの信仰を集め、最盛期には11もの塔頭を有する大寺院として栄えました。

境内と見どころ

本澄寺の境内には、歴史的建造物や、著名な人物ゆかりの施設が点在しています。

三好達治記念館

昭和を代表する詩人、三好達治は、本澄寺の第41世住職であった三好龍紳の兄にあたります。大阪で生まれ、萩原朔太郎に師事した三好達治は、「測量船」や「一点鐘」など、清新な詩風で知られています。記念館には、彼の手稿や写真、愛用品などが展示され、その生涯と作品をしのぶことができます。

三好達治の墓

記念館とともに、境内には三好達治の墓も建立されています。

領界石

かつての領地を示す「烏丸殿領鵜殿神田」と刻まれた領界石も、歴史を感じさせる貴重な遺構です。

旧末寺

昭和16年の本末解体により、現在では旧本山、旧末寺という呼称を用いています。本澄寺には、数多くの旧末寺が属していました。高槻市上牧町に所在する本立院と真如院、枚方市、東大阪市に所在する寺院などが含まれます。

本立院（高槻市上牧町）
真如院（高槻市上牧町）
御殿山欣求寺（枚方市小倉町）
妙広山境智院（東大阪市日下町）
梅龍山勧成院（東大阪市東豊浦町）

交通アクセス

本澄寺へのアクセスは、阪急京都本線の上牧駅から徒歩10分です。

関連資料

日蓮宗寺院大鑑編集委員会『宗祖第七百遠忌記念出版 日蓮宗寺院大鑑』大本山池上本門寺 (1981年)
* 中尾堯『日蓮の寺』東京書籍（1987年）

本澄寺は、歴史と文化が凝縮された、静寂と安らぎに満ちた空間です。日蓮聖人の教えに触れ、三好達治の詩の世界に思いを馳せる、貴重な時間を過ごせる場所と言えるでしょう。

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