本町 (高松市)

高松市本町

概要

高松市本町（ほんまち）は、香川県の県庁所在地である高松市の中心部に位置する町丁です。郵便番号は760-0032で、この地域全体で住居表示に関する法律に基づく住居表示が実施されています。

地理

本町は高松市の都心部にあり、高松市役所からはおよそ1キロメートル東南に位置しています。その区域は、北側が市道北浜町4号線、東側が東浜港（高松港）と市道高松港海岸線、南側が瀬戸大橋通りとことでん琴平線の鉄道敷地、そして西側がフェリー通りによって区切られています。町内の景観は多様で、中央を東西に貫く瀬戸大橋通り沿いには、多くの事務所が入居するビルが集まっています。一方、国の史跡である高松城跡「玉藻公園」に隣接するエリアは、静かで落ち着いた雰囲気の住宅街を形成しています。さらに、町の東側に面した東浜港の周辺には、かつて賑わった漁師町であった頃の歴史的な面影が今もなお感じられます。

統計と行政

2010年に行われた国勢調査によれば、本町の人口は428人（うち男性206人、女性222人）、世帯数は245世帯でした。面積は約4万6420平方メートルであり、これに基づく人口密度は約9220人/平方キロメートルとなります。本町全域は、公立の義務教育学校である高松第一小学校・中学校（小中一貫校）の校区に含まれています。都市計画法に基づく土地利用の指定としては、町全体が容積率400%の商業地域に定められています。

歴史

本町の町名は、江戸時代に高松城の総曲輪内に設けられた町人地、いわゆる「内町五町」の中で中央に位置していたことに由来すると伝えられています。

江戸時代において、本町は高松城下でも重要な「内町五町」の一つでした。現在の本町の町域には、戦後の区画整理によって消滅した魚屋町（うおやまち）、内磨屋町（うちとぎやまち）、工町（たくみまち）、および上横町（かみよこちょう）の大部分が含まれています。江戸時代前期の本町は、城下町の他の町に比べて特権的な地位を享受していました。例えば、高松の産土神である石清尾八幡宮（いわせおはちまんぐう）の祭礼では、各町が趣向を凝らして奉納する飾り船の行列で先頭を進むことが許されていました。また、藩内で取引されるロウの専売権を持つ問屋や、呉服所の御用商人といった有力な商人が居住しており、さらに藩主の信仰に深く関わる厨子などを寄進した「不動庵」も町内にありました。しかし、このような特権的な地位は、江戸時代中期以降には次第に薄れていったとされています。

本町の一部であった旧町名についても、それぞれ独特の歴史を持っています。

魚屋町: 現在の本町の北西部にあった魚屋町は、その名の通り、漁師や魚介類を扱う商人が多く住んでいたことから名付けられました。古い城下図には「魚ノタナ」や「魚場」、さらに古くからの呼び名とされる「古魚棚」といった表記が見られます。慶応年間（1865年-1868年）の城下図には、魚問屋の福島屋や魚会所、魚市場などが描かれており、魚取引の中心地であったことがうかがえます。1930年（昭和5年）に内堀が埋め立てられたことで、港に直接面する町ではなくなりました。現在のこの地域にはフェリー通りが通り、香川県立ミュージアムや、かつての高松市立城内中学校の敷地などが位置しています。
内磨屋町: 本町の北部にあった内磨屋町は、武士の槍や刀などの武具を研ぐ研師（とぎし）や、金工を行う鏨師（たがねし）が多く居住していたことに由来します。城の曲輪の外にあった研屋町（後に外磨屋町となり、現在の磨屋町にあたる）に対して、曲輪内に位置する「磨屋町」として区別されていました。しかし、江戸時代中期以降には、城下町にある外磨屋町の方が商業的に発展し始め、内磨屋町は次第に職人の町としての特徴を失っていきました。
工町: 本町の南東部にあった工町（たくみまち）は、様々な種類の職人が多く暮らしていたことにちなんで名付けられました。寛永17年（1640年）の城下図には「たたみや町」と記されており、当時は畳表を扱う商人や畳職人が多く住んでいたと考えられます。その後、享保年間（1716年-1736年）の城下図には「工町」として記録されるようになりました。
上横町: 本町の南西部にあった上横町は、松平氏の時代に城の東側が拡張された際に設置された「御用屋敷」の横にできた町であることから名付けられました。この御用屋敷は後に「前御屋敷」と呼ばれましたが、明治維新後に取り壊され、その跡地は現在殿町と呼ばれています。

近代に入り、1890年（明治23年）2月15日には、それまで城下町の町々を集合させていた高松の区域をもって市制が施行され、高松市が誕生しました。本町、魚屋町、内磨屋町、工町、上横町もこの新しい市の区域の一部となりました。1945年（昭和20年）7月4日未明、第二次世界大戦末期の高松空襲により、町内全域が壊滅的な被害を受け、灰燼に帰しました。空襲によって中心市街地が甚大な被害を受けた高松市では、その大部分で戦災復興土地区画整理事業が進められ、本町も「第一工区二次」としてこの事業の対象となりました。これにより、町内の多くの道路が拡幅や改良が行われました。この区画整理事業が完了し、土地の権利関係が確定する換地処分の公告が行われたのは1964年（昭和39年）1月25日です。

戦後の町域の再編は段階的に進みました。まず1958年（昭和33年）には、本町の一部が玉藻町に編入され、魚屋町の一部は本町や北浜町に、工町の一部は本町や丸の内へ、そして上横町の全域が本町と丸の内に編入されました。この再編により、上横町は町名として消滅しました。続いて1964年（昭和39年）には、本町の一部が鶴屋町へ編入されるとともに、残っていた魚屋町の全域または残余が本町と北浜町へ、内磨屋町の全域が鶴屋町と本町へ、工町の全域または残余が本町と鶴屋町へ編入されました。この時点をもって、魚屋町、内磨屋町、工町といった旧町名も全て消滅しました。さらに1969年（昭和44年）2月10日には住居表示が実施され、本町の一部が丸の内、玉藻町、鶴屋町へ編入される一方、鶴屋町や北浜町の一部が本町へ編入されるといった町域の調整が行われ、現在の本町の町域がほぼ確定しました。

主要施設

町内には以下の施設などが存在します。

遠山文化服装女学院
四国電力丸の内変電所
たまも動物病院

関連項目

高松市の町・字
高松市
本町 (曖昧さ回避)

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