札幌トヨペット硬式野球部

札幌トヨペット硬式野球部

札幌トヨペット硬式野球部は、かつて北海道札幌市を本拠地として活動していた社会人野球の企業チームです。トヨタ自動車の有力販売店である札幌トヨペットを運営母体としていました。日本野球連盟に加盟していましたが、設立からわずか11年後の1983年8月18日をもってその歴史に幕を下ろしました。

設立から都市対抗での輝き

チームは1972年、札幌トヨペットによって創設されました。設立当初は地域の野球界に新たな風を吹き込む存在として期待を集めます。そして創部から数年を経てチームは着実に強化され、1977年には元プロ野球選手である宮崎一夫氏を監督として招聘し、更なる飛躍を目指しました。

チームの歴史において最も輝かしい瞬間は、創部9年目となる1980年に訪れます。この年、念願の都市対抗野球大会に初出場を果たすと、全国の強豪を相手に次々と勝利を重ね、破竹の勢いで決勝戦まで勝ち進みました。惜しくも決勝では敗れましたが、初出場ながら準優勝という快挙を成し遂げ、全国の社会人野球ファンの注目を集めました。この時の活躍は、特に北海道の野球界に大きな希望と感動を与えました。

短命に終わった栄光

都市対抗での準優勝という栄光のわずか翌年、チームは思わぬ事態に直面します。1981年3月、運営母体である札幌トヨペットが経営破綻に陥り、チームは出場を予定していたJABA日立市長杯選抜野球大会を辞退せざるを得なくなりました。運営母体はその後再建を果たしましたが、企業の経営環境は厳しさを増していました。当時の自動車販売業界における競争激化が経営を圧迫する中、企業スポーツとしての野球部の維持が困難となり、球団は1983年8月18日をもって解散、廃部が決定されました。

短期間のうちに全国準優勝という偉業を成し遂げながら、わずか11年で活動を終えた札幌トヨペット硬式野球部。その歴史は、企業活動と密接に関わる社会人野球チームの宿命を物語っています。

主な関係者

出身プロ野球選手
鈴木正幸（投手）：1980年の都市対抗準優勝投手。大会後にドラフト外でヤクルトスワローズに入団。
元プロ野球選手の監督
宮崎一夫：大映ユニオンズ、高橋ユニオンズ、毎日オリオンズでプレーした元プロ野球選手。1977年からチームが解散する1983年まで監督を務め、チームを都市対抗準優勝に導きました。
かつて在籍した選手
𨂊池均：選手として在籍。現役引退後は、高校野球の監督（旭川龍谷高など）やパシフィック・リーグの審判員として活躍しました。

主要大会の成績

* 都市対抗野球大会：出場1回（1980年）、最高成績 準優勝（1980年）

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