札幌メディアパーク・スピカ

札幌メディアパーク・スピカ：輝きと閉幕の物語

札幌メディアパーク・スピカは、札幌市中央区に存在した、札幌テレビ放送（STV）が所有するイベントホールです。2000年4月から2008年3月までの8年間、地域に彩りを添える数々のイベントを舞台としていました。

開業までの道のり

STVの開局40周年記念事業として計画されたスピカは、1996年に社内に準備室が設置され、旧市立札幌病院跡地を活用して建設されました。1998年4月8日に行われた起工式は、新たな時代の幕開けを告げる象徴的な出来事でした。

施設名は一般公募により決定。「スピカ」は、おとめ座の一等星に由来し、豊穣の神デメテルに重ね合わせた希望や感動、そして世界への情報発信という願いが込められています。21世紀の札幌を象徴する新しいランドマークとして、人々の期待を一身に集めていました。

開業とデジタル技術

2000年4月7日、スピカは華々しく開業しました。CS放送やインターネットとの連携に対応した映像システムなど、デジタル技術を積極的に導入し、「テレビ、ラジオに次ぐ第3のメディア」として注目を集めました。

開業初年度には40以上のイベントが開催され、50万人以上の来場者数を記録。その人気は、まさに時代の寵児と言えるものでした。

経営難と閉鎖

しかし、芸術性を重視した建築は建設費の高騰を招き、完成後の運営においても課題を抱えることになります。小さすぎるステージ、中途半端な駐車場の規模、気象条件に左右されるガラス屋根など、イベントホールとしての使い勝手の悪さが、経営に深刻な影を落としました。

開業当初から続く赤字は、STVの経営を圧迫。2007年3月の経営戦略会議で早期撤退が決定され、2008年3月末をもって閉館。その後、建物は解体され、跡地には家電量販店が建設されました。

設計と建築

スピカのデザインは、STV社長の伊坂重孝氏の親族である伊坂重春氏が担当。「芸術と自然の共生」をコンセプトに、冬期の雪に影響されないアリーナ構造が採用されました。

開閉可能なガラス屋根は、渡辺邦夫氏による世界初のシステムで、正三角形のパネルが組み合わさった独特の形状を形成。芸術性を追求した構造は、総工費の高騰につながった一面もありました。

外観は、ルーチョ・フォンタナの作品を彷彿とさせる半地下・半屋外型。建物本体の大半は地中に埋め込まれ、ガラス張りの屋根と壁面が、開放的な空間を演出していました。

館内にはイサム・ノグチなどの著名な芸術家の作品が展示され、隣接地には公園の建設も構想されていました。

施設概要とイベント

スピカは、最大収容人員2009名のアリーナを備え、大型映像装置「スピカビジョン」、可動式ステージ、地下駐車場などを完備。2階にはイタリアンレストラン「カフェ・サルーテ」も併設されていました。

8年間の間に、数多くのイベントが開催されました。STV主催のイベントをはじめ、演劇、音楽、プロレス、展覧会など、ジャンルを問わず幅広い催しが繰り広げられ、多くの思い出が紡ぎ出されました。

スピカクラブ

スピカにはファンクラブ制度「SPICA CLUB」がありました。会員には、会報誌の発行、イベントへの優先予約、割引サービスなどの特典が提供されていました。

結び

札幌メディアパーク・スピカは、短命に終わったものの、その存在は札幌の文化史に深く刻まれています。独特の建築デザイン、先進的な設備、そして開催された数々のイベントは、人々の記憶に長く残り続けるでしょう。その輝きは、新たな形で受け継がれ、未来へと繋がっていくことでしょう。

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