札幌市豊平川さけ科学館

札幌市豊平川さけ科学館

札幌市豊平川さけ科学館は、自然の大切さを伝えるために設立された科学館で、北海道札幌市南区の真駒内公園内に位置しています。この施設は、サケの回帰生殖や自然環境の知識を広めることを目的としており、愛称として「さけ科学館」と呼ばれています。設計は北海道を代表する建築家、田上義也により手がけられ、公益財団法人札幌市公園緑化協会によって管理されています。

館の概要

さけ科学館は真駒内公園の北端近くにあり、近隣には真駒内川および豊平川が流れています。館内は本館、さかな館、実習棟の三つの主要な建物から構成されており、さかな館は1986年、実習棟は2003年に完成しています。サケの稚魚放流事業は1979年から始まり、その成功を受けて1984年に科学館が開設されました。ここでは、毎年サケが産卵のために遡上した際に捕獲され、卵を採取・孵化させ、豊平川および真駒内川に稚魚を放流する活動が行われています。最初はサケが遡行を妨げられていたため、放流先は主に豊平川でしたが、魚道が整備されてからは千歳川のサケも利用するようになりました。

この科学館では、サケだけではなく、札幌市内の水生生物を展示・飼育しており、訪れる人々にサケの生態系を身近に感じてもらうことを目指しています。2003年度には、館を訪れた人が73,196人に上り、その中には観光客や学校の団体利用も見受けられました。毎年開催される野外イベントとしては、さかなウォッチングやサーモンウォッチング、サケの採卵体験があり、地域の自然を学ぶ貴重な機会になっています。また、館は近隣の水生生物の調査も行い、地域の環境理解の向上に貢献しています。

歴史的沿革

さけ科学館の歴史は1984年に始まり、それに伴い設立に向けた様々な動きがありました。特に、6月4日に札幌市議会で豊平川さけ科学館条例が可決され、9月には館が竣工しました。開館当初はシロザケのみの展示から始まり、その後観察池やさかな館などの追加建設が行われました。1996年にはろ過施設が完成し、2003年には実習棟の竣工と共に来館者数が200万人を超えました。

2004年には20周年を迎え、特別なイベントとして「さっぽろ・サケ月間」が設けられ、記念フェスタが開催されました。年数が経つにつれ、サケ稚魚放流数も増加し、2010年までには豊平川での放流数が1,000万尾に達しました。

さけ科学館は権威ある団体との連携を深め、2010年には酪農学園大学との協定を結び、さらなる学術的な交流が図られています。2011年には明仁天皇の訪問も記憶に新しい出来事です。

近年では開館30周年を祝うフォーラムが開催され、さまざまな取り組みが評価されています。さらに、2015年にはさっぽろ環境賞の優秀賞を受賞するなど、地域の環境保全および教育の推進においても高い評価を受けています。

交通アクセス

科学館へのアクセスは、札幌市営地下鉄南北線の真駒内駅からじょうてつバスを利用し、「真駒内競技場前」停留所で下車し徒歩約4分の距離です。

北海道の自然環境とサケの生態について、多様な体験や学びを提供する札幌市豊平川さけ科学館は、地域の重要な文化施設として、それぞれの訪問者に深い感動と知識を提供しています。

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