完成

完成：出来上がりと法的解釈

「完成」とは、物事や作業が全て整い、期待された状態になったことを意味します。日常会話では、作品やプロジェクトが終了した状態、目標が達成された状態などを表現する際に用いられますが、法律用語としての「完成」は、より厳密な定義を持ちます。

法律における「完成」の意義

日本の法律において、「完成」は、特定の事実や作業が完了した状態を指します。特に、契約や法律効果の発生において重要な役割を果たします。例えば、請負契約では、請負人が作業を完了（完成）させることが、契約成立の重要な条件となります。請負人が報酬を請求できる権利も、作業の完成後に初めて発生するのです。

請負契約においては、作業の完成をどのように判断するかが重要になります。契約書に具体的な完成基準が明記されている場合、その基準に従って判断されます。しかし、基準が曖昧な場合、作業内容、目的、一般的な業界慣習などを総合的に考慮して、客観的に判断する必要があります。完成したと主張する側には、その主張を裏付ける明確な証拠を提出する必要があります。

さらに、「完成」は時効の成立にも関与します。時効とは、権利行使を一定期間行わなかった場合、その権利が消滅する制度です。時効が効力を生じる状態になることを「時効の完成」といいます。時効の完成には、一定の期間経過に加え、権利行使を妨げる事情がないことなどの要件が満たされている必要があります。時効の完成に関する判断も、客観的な事実関係に基づいて行われます。

完成と関連する概念：竣工

「完成」と密接に関連する概念として「竣工」があります。竣工は、主に建築物や土木工事の完成を意味する専門用語です。建築物が設計図書どおりに完成し、検査機関による検査を受け、引き渡し可能な状態になったことを指します。竣工は、完成という一般的な概念を、建築工事という具体的な場面に適用したものです。竣工検査を経て、初めて建築物の所有権が移転し、完成が確認されたと言えるでしょう。

まとめ

「完成」は、日常的な意味と法律的な意味の両方を持つ重要な概念です。特に法律用語としては、契約や権利の発生・消滅に深く関わるため、その定義と判断基準を正確に理解することが不可欠です。請負契約や時効の問題を考える際には、「完成」という概念を正しく理解することで、紛争の予防や解決に役立ちます。 完成の判断基準は、ケースバイケースで異なり、契約内容や具体的な状況を考慮する必要があります。そのため、専門家の助言を求めることも有効な手段となります。 建築工事などの専門分野では、竣工という専門用語を用いることで、より明確に完成の状態を規定することができます。

もう一度検索