札幌綜合鉄工共同組合
札幌綜合鉄工共同組合について
札幌綜合鉄工共同組合（さっぽろそうごうてっこうきょうどうくみあい）は、北海道札幌市にかつて存在した鉄道車両の製造を行った企業体です。主に札幌市電の車両製造に特化し、道内各鉄道の車両修繕や簡易軌道用の車両製造なども手がけていました。略称として「札鉄共」（さってつきょう）が用いられました。
組合の設立背景
この組合は、札幌市内の複数の鉄道車両関連企業が集まり、共同で札幌市電の車両を受注・納入するために結成されました。戦前は日本車輌などの企業が車両を製造していましたが、戦後は地元の企業育成を目的として、車両を道内業者に発注する方針がとられました。各企業が単独で行動するには規模が小さいため、協力を求める形で「札幌綜合鉄工共同組合」が設立されたのです。
1957年には最初の車両である200形電車が発注され、泰和車両、運輸工業、苗穂工業、藤屋鉄工所の4社が協力して納入を始めました。これ以降の5年間で、6形式43両の電車が製造され、特に200形以外の形式はほとんどが共通設計となり、「札幌スタイル」として知られる丸みを帯びたデザインが特徴となりました。さらに、台車製造を行う豊平製鋼も、ブルーム式除雪車DSB1形の製造に寄与しました。
しかし、ラッシュ時の輸送力増強のため、交通局は1961年以降、本州のメーカーが手掛ける2両編成タイプの車両を導入する方針に転じました。新車発注は1961年の「親子電車」（日本車輌製）や、1963年以降の「連結車」に移行し、札幌綜合鉄工共同組合への新規発注は1961年を最後に打ち切られました。結果として、1965年には既存の車両の改造納入が最後の製品となり、組合は消滅しました。
構成企業の概要
札幌綜合鉄工共同組合の構成企業には、苗穂工業、泰和車両、運輸工業などがあり、これらは戦後に設立された中小規模の鉄道車両整備会社です。「各鉄工業」や「各鉄工機」と通称されるこれらの企業は、元々国鉄および主要私鉄との関係が強く、工場は国鉄線沿いに位置することも多かったため、外注業務を担う形で成り立ちました。特に、札幌地区には同種の企業が集まり、札幌市交通局からの発注を受ける契機となったのです。
個別企業の詳細
- - 泰和車両: 1946年に国鉄関係者によって設立され、当初は蒸気機関車や客貨車の修理を行っていました。後には札幌市電や簡易軌道の車両も納入しましたが、鉄道関連の製造からは撤退し、現在では不動産賃貸業を営んでいます。
- - 豊平製鋼: 1937年に設立され、札幌市交通局の230形や240形の台車を製造しました。
結論
札幌綜合鉄工共同組合は、道内企業が集結し協力する形で実現された製造体制といえますが、時間の経過とともに変化する市場環境に対応できず、最終的にはその役割を終えました。札幌市の交通インフラにおける彼らの貢献は、今もなお地域の歴史の一部として記憶されています。
もう一度検索
【記事の利用について】
タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。
【リンクついて】
リンクフリーです。