札幌交通機械

札幌交通機械株式会社は、北海道旅客鉄道（JR北海道）の子会社であり、主にJR北海道および札幌市交通局（地下鉄、市電）が運行する公共交通機関の車両整備・修繕を専門とする企業です。

沿革

企業の源流は、1952年に国鉄OBの方々によって設立された「苗穂工業株式会社」にあります。設立当初は国鉄関連の設備工事や廃車解体、私鉄車両の修繕などを行っていました。1958年には、札幌市電の新規製造や改造工事を共同事業体として受注し、官公庁からの業務も手掛けるようになります。

1969年、当時の国鉄の後援のもと、三菱電機、日立製作所、川崎重工業、日本車輌製造といった主要な鉄道車両メーカー各社の出資を得て、苗穂工業を母体として新たに「札幌交通機械株式会社」として設立されました。その後、道内各地に営業拠点を開設していきます。

2003年には北海道旅客鉄道（JR北海道）の子会社となり、よりJRグループとの連携を深めました。近年では、組織再編として北海道ジェイ・アール・サイバネット株式会社（2016年）、札幌工営株式会社（2018年）を吸収合併しています。

事業内容

札幌交通機械の主要な事業は、鉄道車両の維持管理です。JR北海道の車両をはじめ、1971年に開業した札幌市営地下鉄南北線、その後に開通した東西線、東豊線の全地下鉄車両、および札幌市電の検査や修繕業務を長年にわたり担っています。

しかし、その事業領域は車両の整備に留まりません。過去には蒸気機関車C11 171号機の復元工事を手がけたほか、札幌の冬の風物詩である除雪用車両「ササラ電車」や、百合が原公園内の「リリートレイン」、特急列車のミニチュア車両など、特殊な車両の新規製造や改造も行っています。さらに、鉄道関連施設だけでなく、JRタワーやホテル日航ノースランド帯広といったJR北海道グループの建築物における空調設備工事、旭川運転所の機械設備新設工事など、多岐にわたる機械・設備関連の業務も請け負っています。

事業拠点

本社は札幌市東区に所在します。また、札幌市内の地下鉄各車両基地内には高速電車部として3つの事業所を置き、地下鉄の安全運行を技術面から支えています。このほか、旭川、釧路（車両、機械）、帯広（機械派出）、函館（車両、機械）といった道内主要都市にも事業所を展開し、北海道全域の鉄道インフラを支える体制を構築しています。

このように、札幌交通機械株式会社は、車両整備を中心とした確かな技術力と、道内各地に広がる事業ネットワークを基盤に、北海道における公共交通の安全と安定輸送に貢献し続けています。

主な事業所

本社（札幌市東区）
高速電車部 電車第一課（札幌市交通局南車両基地内）
高速電車部 電車第二課（札幌市交通局東車両基地内）
高速電車部 電車第三課（札幌市交通局西車両基地内）
旭川機械支店
釧路機械支店
釧路車両支店
釧路機械支店帯広派出
函館機械支店
函館車両支店

主な沿革

1952年：苗穂工業株式会社設立
1958年：札幌市電工事受注、官公庁業務参入
1969年：札幌交通機械株式会社設立（苗穂工業を母体、国鉄・車両メーカー出資）
1971年：札幌市営地下鉄車両検査業務開始
2003年：JR北海道の子会社となる
2016年：本社移転、北海道ジェイ・アール・サイバネット株式会社吸収合併
* 2018年：札幌工営株式会社吸収合併

もう一度検索