朱常浩

朱常浩（しゅ じょうこう）は、1591年に生まれ、1644年に没した明朝の皇族であり、初代瑞王（ずいおう）です。彼は万暦帝（ばんれきてい）の五男として生まれ、母は端妃周氏（たんひ しゅうし）でした。

万暦帝の治世下、皇太子がなかなか決定しなかったため、長男の朱常洛（しゅ じょうらく）、三男の朱常洵（しゅ じょうじゅん）と並んで、朱常浩も皇太子の地位を争いました。しかし、1601年に朱常洛が皇太子に決定。同日、万暦帝は朱常洵に福王（ふくおう）、朱常潤（しゅ じょうじゅん）に恵王（けいおう）、そして朱常浩に瑞王の位をそれぞれ授けました。また、七男の朱常瀛（しゅ じょうえい）には桂王（けいおう）が与えられています。

朱常浩は25歳になっても結婚していなかったため、朝廷の官僚たちは万暦帝に瑞王の結婚を早めるよう進言しました。しかし、万暦帝はこれを無視。一方、朱常浩は毎日のように戸部に対して結婚費用を催促していました。彼は宮中に18万両の金を隠していたにもかかわらず、結婚の礼服すら買えないと主張。この嘘が露見し、罰を受けることになります。

朱常浩は仏教を深く信仰しており、女性にはあまり興味がないように見受けられましたが、財産には非常に執着していました。朝廷に納めるべき税金以外にも、様々な名目で税を徴収し、領民を苦しめたと伝えられています。

1627年、朱常浩は漢中（かんちゅう）の領地を受領しました。崇禎（すうてい）年間には、崇禎帝から盪寇衛（とうこうえい）という官職を与えられています。1637年には、漢中で王斌（おうひん）という人物が農民を組織して反乱を起こしました。朱常浩は鎮圧に失敗しましたが、皇族という身分だったため、皇帝から罪を問われることはありませんでした。

その後、戦乱を避けるため、朱常浩は四川地方へと逃れ、四川総兵（しせんそうへい）の助けを得て重慶（じゅうけい）に移りました。しかし、張献忠（ちょうけんちゅう）率いる農民軍が重慶を陥落させた際、朱常浩は捕らえられ、四川巡撫（しせんじゅんぶ）の陳士奇（ちんしき）と共に斬首されました。この時、朱常浩の一族も皆殺しにされています。

朱常浩は、皇族としての地位を持ちながらも、その生涯は数々の騒動と悲劇に彩られた人物でした。彼の行動は、当時の明朝の腐敗した側面を象徴しているとも言えるでしょう。

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