朱権

朱権（しゅ けん）

朱権（1378年5月27日 - 1448年10月12日）は、明朝の皇族であり、初代皇帝・朱元璋の十七男として生まれました。母は楊妃で、永楽帝の異母弟にあたります。号は臞仙、涵虚子、丹丘先生など、文人としての側面も持ち合わせていました。

生涯

1391年、父である朱元璋から寧王に封じられ、1393年には封国として大寧に赴任しました。しかし、朱元璋の死後、建文帝の時代になると、藩王の勢力を削ぐ政策が推進されます。朱権は8万の兵力を有していたため、建文帝やその側近である斉泰、黄子澄らから警戒され、応天府への召還を命じられますが、これを拒否したため、王位を剥奪されてしまいました。

その後、永楽帝の時代になると、朱権は南昌へ移されることになります。これは事実上の左遷と見なされており、朱権は洪熙帝に改封を求めたものの、聞き入れられず、逆に怒りを買ったとされています。ただし、大寧はモンゴルに近い辺境の地であったため、南昌への移封は、朱権自身が希望したという説もあります。

1448年、朱権は71歳でその生涯を閉じました。

文化人としての活動

朱権は、政治的な動乱の中で苦難を経験した一方で、優れた文化人としての才能を発揮しました。著作や編纂活動を精力的に行い、多くの作品を後世に残しています。

主な著作

• - 通鑑博論：歴史書である『資治通鑑』に関する評論。
• - 寧国儀範：寧王としての規範を示す書物。
• - 家訓：一族の家訓。
• - 文譜：文章作法に関する書物。
• - 詩譜：詩に関する書物。
• - 史断：歴史に関する評論。
• - 漢唐秘史：漢と唐の歴史に関する書物。
• - 琴阮啓蒙：楽器に関する啓蒙書。
• - 神奇秘譜：音楽に関する書物。
• - 茶譜：茶に関する書物。
• - 瓊林雅韻：文学作品。
• - 神隠：隠遁生活に関する書物。
• - 太和正音譜：音楽に関する書物。

これらの作品は、朱権が単なる皇族ではなく、学問や文化にも深い関心を持っていたことを示しています。また、彼の編纂した書籍は、当時の文化水準を知る上でも貴重な資料となっています。

家族

• - 妻

- 張氏（張泰の娘）

• - 子

- 荘恵世子 朱磐烒（寧恵王と追封）
- （夭折した子）
- 臨川康僖王 朱磐熚
- 宜春安簡王 朱磐烑
- 新昌安僖王 朱磐炷
- 信豊悼恵王 朱磐㷬

朱権の末裔からは、画家の八大山人（朱耷）が出たことでも知られています。これは、朱権が築いた文化的な基盤が、後世にまで影響を与えたことを示唆しています。

参考文献

• - 『明史』列伝第五 諸王二

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