朱高煦

朱高煦（しゅ こうく）は、明朝の皇族であり、第3代皇帝永楽帝の次男として生まれました。兄には第4代皇帝洪熙帝がいます。彼は武勇に優れ、父である永楽帝に似て長身で巨漢だったと伝えられています。そのため、異民族討伐などで活躍しました。

建文元年（1399年）に勃発した靖難の変では、朱棣（後の永楽帝）軍の大将として軍を率い、建文帝側が優勢な状況下で、諸将を叱咤激励し、父の勝利に大きく貢献しました。この活躍により、朱棣が皇帝に即位した後、朱高煦を皇太子に推す声も上がりました。しかし、朱高煦は短気で粗暴な性格であったため、永楽帝は彼の皇太子擁立を見送りました。永楽帝は、兄の朱高熾の柔弱さを認めつつも、その息子である朱瞻基の資質を高く評価していたため、朱高熾を皇太子としました。

永楽帝は、粗暴な性格の朱高煦を疎んじていましたが、即位の褒賞として雲南方面の高陽王に封じました。しかし、朱高煦は赴任を拒否し、北京に留まり続け、父の親征に同行して武功を上げました。その後、赴任地は雲南から楽安州へと変更されましたが、これも拒否して北京に留まりました。

永楽22年（1424年）、永楽帝が崩御し、兄の朱高熾が洪熙帝として即位しました。しかし、洪熙帝は在位わずか8ヶ月で崩御し、皇太子であった朱瞻基が宣徳帝として即位しました。宣徳帝の即位に際して、朱高煦は私兵を用いて皇位簒奪を企てましたが、事前に計画が露見し、宣徳帝に逮捕されました。

宣徳帝は、叔父にあたる朱高煦の助命を考慮しましたが、朱高煦は無罪を主張し、各方面との連絡を試みた上、宣徳帝との会見の際に蹴りつけるという粗暴な態度を示しました。これにより、宣徳帝は遂に死刑を命じました。当初、朱高煦を重さ300斤以上の銅釜に閉じ込めましたが、怪力の持ち主である朱高煦が蓋を動かしたため、宣徳帝は銅釜の周りに木炭を積み上げて火を放ちました。燃え盛る炎によって銅釜は焼けただれ、中にいた朱高煦は焼死したと伝えられています。享年47歳でした。彼の家族も皆殺しにされたという悲劇的な最期を迎えました。

朱高煦には多くの子がいましたが、彼らの多くも悲運に見舞われています。

懿荘世子 朱瞻壑 - 早世
世子 朱瞻圻
世子 朱瞻坦
済陽王 朱瞻垐
臨淄王 朱瞻域
淄川王 朱瞻墿
昌楽王 朱瞻垶
斉東王 朱瞻坪
任城王 朱瞻壔
海豊王 朱瞻㙊
* 新泰王 朱瞻垹

このように、朱高煦は武勇に優れながらも、その粗暴な性格が災いし、悲劇的な最期を遂げた人物でした。

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