朴世永

朴世永の生涯と業績

朴世永（パク・セヨン、박세영、1902年7月7日 - 1989年2月28日）は、韓国京畿道出身の著名な詩人であり、北朝鮮の国歌「愛国歌」や歌「臨津江」を手掛けたことで知られています。彼の作品は多くの人々に影響を与え、北朝鮮や韓国の文化において重要な位置を占めています。

生涯の概要

朴は高陽郡、現在の高陽市で生まれました。彼の文学活動は、日本の植民地時代から始まり、当時のプロレタリア文学運動に積極的に参加していました。その訪問者としての参加は、彼の詩のスタイルにも大きな影響を与え、彼の作品に政治的なテーマを色濃く反映させることとなります。

解放後の1945年、朴は北朝鮮に移住しました。彼は移住後間もなくして「愛国歌」の作詞を行い、この曲は国を代表する歌となり、数世代にわたって歌われてきました。また、「臨津江」は1957年に制作され、この曲は対日謀略放送や朝鮮学校の教育カリキュラムに取り入れられるなど、広く評価されました。

「臨津江」の影響

1960年代には、京都の朝鮮学校に通っていた中学生の松山猛が初めて「臨津江」を耳にし、そのメッセージに感動を覚えました。後に彼は大学生となり、ザ・フォーク・クルセダーズという音楽グループに加わります。彼らは「臨津江」をアレンジし、新たに歌詞の一部を加えた「朝鮮民謡“イムジン河”」として発表しました。フォーク・クルセダーズはこの曲をプロテストソングとして広め、反戦運動の象徴として位置づけられるようになりました。

その際、東芝音楽工業がレコード化を進めるも、朴の著作権や朝鮮総連の意向により、発表は中止となります。朝鮮総連は「愛国歌」の作詞者が朴であることを強調し、レコードが北朝鮮のものであることを明記するように求めました。しかし、当時の業界では「朝鮮民主主義人民共和国」という名称は一般的ではなく、また韓国との取引関係への影響を考慮した結果、東芝はリリースを見送ることになります。

その後、ザ・フォーシュリークが「リムジン江」を歌い上げましたが、この曲もまた放送自粛の対象となり、一時期はメディアから姿を消すことになりました。しかし、1995年にソリッド・レコードからザ・フォーク・クルセダーズのCD『ハレンチ＋1』に収録され、復活を果たします。さらに2002年には、アゲント・コンシピオから『イムジン河』というシングルがリリースされ、特に団塊の世代によって広く支持されました。

このように、朴世永の作品はただの歌に留まらず、歴史的背景や社会的メッセージを帶びています。

その他の作品

朴世永は他にも多くの詩や歌曲を残しており、代表作の一つとして「ピョンヤンは心のふるさと」が挙げられます。この作品も彼の深い愛国心と故郷への思いを表現していると考えられます。

彼の業績は、北朝鮮だけでなく世界中の音楽や文学に多大な影響を与え、後世にその名を残し続けています。

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