朴慶植

朴慶植について

朴慶植（パク・キョンシク、1922年12月7日 - 1998年2月12日）は、日本で活動した在日朝鮮人の歴史研究者であり、元朝鮮大学校の教員です。彼は慶尚北道奉化郡金峰里に生まれ、1929年3月に家族とともに日本に移住しました。日本での教育を受けた後、1943年に日本大学高等師範部地理歴史科を卒業し、1942年には国民学校の助教としての職を得ることになります。1949年には東洋大学の文学部史学科を卒業し、その後も朝鮮中高級学校や朝鮮大学校で教育に従事しました。

1998年に自転車で帰宅中の交通事故で亡くなるまで、彼は75年の人生を歴史研究に捧げました。彼が収集した資料はなんと1300箱に及び、これらは滋賀県立大学に寄贈されて「朴慶植文庫」として利用されています。

歴史研究とその影響

朴慶植は歴史研究において、特に朝鮮人の植民地期の被害に焦点を当てました。しかし、彼の研究は朝鮮総連内の主流派から強い圧力を受けました。当時、朴とともに南朝鮮の歴史を研究していた姜在彦や文学者の金達寿らは後覚派グループを形成しましたが、これに対し主流派は彼らの研究に否定的だったのです。外村大は、朴が行った「朝鮮人強制連行」に関する研究が、北朝鮮の政治的意図とは無関係であると述べています。

朴は、歴史の事実を冷静に見つめ、その著作の中で朝鮮人労働者が強制的に動員された状況を描写しました。特に、官公吏や警察が関与する「奴隷狩り」的な連行の実態に触れ、多くの女性が慰安婦として強制動員されたことにも言及しています。

主張と批判

彼の研究は、日本国内における歴史認識に大きな波紋を呼び起こしました。特に、朴慶植が「募集」「官斡旋」「徴用」を強制連行としたことは、政治的な意見の対立を生む要因ともなりました。産経新聞は、これが韓国との外交問題に発展する背景ともなったと指摘しています。

また、朴は1942年に行われた「半島労務者勤労状況に関する調査報告」に基づき、賃金の格差を「民族差別」の一例とし、それが日本社会における差別的構造を示していると主張しました。しかし、この見方には異論もあり、実際には熟練度によって賃金が変動するため、単純に民族差別としてカテゴライズするのは誤りとの批判も存在しました。

著作

朴慶植は多数の著作を残しました。その中には次のような著書があります：
1. 『朝鮮人強制連行の記録』(1965年)
2. 『日本帝国主義の朝鮮支配』(1973年)
3. 『朝鮮三・一独立運動』(1976年)
4. 『在日朝鮮人運動史―8・15解放前』(1979年)
5. 『解放後在日朝鮮人運動史』(1989年)
6. 『在日朝鮮人・強制連行・民族問題―古稀を記念して』(1992年)

彼の文献は、現在の在日朝鮮人や歴史問題への理解を深めるための重要な資料とされています。朴慶植の研究は、視点の多様性や歴史認識の重要性について考えさせるものです。

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