朴敬元

朴敬元の生涯と業績

朴敬元（ぼく けいげん、パク・ギョンウォン、1901年6月24日-1933年8月7日）は、日本の統治下にあった朝鮮出身の女性パイロットです。彼女は日本海横断飛行に挑戦したことで歴史に名を刻んだ重要な人物です。彼女の故郷は慶尚北道の大邱で、家業は家具屋でした。彼女の飛行の道のりは、女性がパイロットとして活動することが困難だった時代背景の中で、非常に重要なものでした。

経歴の詳細

朴は1925年に日本を訪れ、東京日本飛行学校に入学します。わずか11時間の飛行訓練を経て、1927年には3等操縦士の資格を取得し、1928年にはさらに進んで2等操縦士の資格も得ます。彼女の成功は日本国内での支援を得たことも大きな要因であり、特に逓信大臣の小泉又次郎の後援を受けました。その後、彼女は親善飛行の一環として故郷の京城へ向かう計画に選ばれました。

しかし、1933年8月7日、彼女は女性初の日本海横断飛行を行うため、サルムソン2A2型機、愛称「青燕」に搭乗し、羽田空港から出発しました。多くの人に見送られた彼女は、箱根を越えたところで無線信号が途切れ、その後静岡県田方郡多賀村の山中に墜落してしまいます。残念ながら、彼女はこの事故により命を落としました。

墜落の後

墜落現場は、玄岳の西側斜面、およそ山頂から50メートル下の場所でした。彼女が消息を絶った翌日、多賀村や網代村の住民が、朴敬元の遺体を捜索し、彼女は荼毘に付されました。墜落の場所には慰霊碑が建立され、さらに熱海梅園内にも「朴飛行士記念碑」が建てられたのは、日韓首脳会談を機に森喜朗内閣総理大臣と金大中韓国大統領によるものでした。

この事故は当時の新聞に大々的に報道され、多くの人々の悲しみを呼び起こしました。多くの追悼文が寄せられ、彼女の死を悼む声は日本と韓国の両国で広がりました。1974年に行われた40年目の慰霊祭には、韓国の航空界を代表する女性パイロットや、韓国大使館の関係者も参列し、朴敬元を追悼しました。彼女の業績は、長い年月を経てもなお記憶されており、事故の60年後には彼女に関する書籍も出版されるなど、彼女の影響力は消えていません。

おわりに

朴敬元は女性がパイロットとして活躍する道を切り開いた先駆者であり、その生涯は多くの人々に勇気を与えてきました。彼女の挑戦と悲劇は、航空界における女性の立場の変化にも影響を与え、歴史的な意義を持っています。

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