杉並区立高井戸中学校

杉並区立高井戸中学校

杉並区立高井戸中学校（すぎなみくりつ たかいどちゅうがっこう）は、東京都杉並区高井戸東一丁目に所在する区立の中学校です。

概要

昭和22年（1947年）4月にその歴史を開始しました。地域に根差した教育を長年にわたり行っており、特に昭和57年（1982年）度からは難聴学級が開設され、杉並区内に居住する聴覚に障がいのある生徒たちが通学できる環境が整備されています。学校の精神を歌い継ぐ校歌は、言語学者として著名な金田一京助氏が作詞を手がけ、作曲は音楽家の高木東六氏が担当しました。

本校の象徴として、オットー・フランク氏から贈られた『アンネのバラ』が平成28年（2016年）に植樹されました。このバラは平和への願いを込められたものであり、開校以来、代々の生徒たちが「花守（はなもり）」として大切に世話を引き継いでいます。現在も学校の敷地内で美しい花を咲かせ続けています。

部活動においては、国公立の中学校としては全国でも極めて珍しい、わずか2校にしか存在しないゴルフ部があることで知られています。この特色ある部活動を目指して、学区外から入学を希望する生徒もいるほどです。学校は近隣のゴルフ練習場と連携しており、専門的な知識を持つ外部指導員から本格的な指導を受けることができる体制が整えられています。

『アンネのバラ』にまつわる活動

高井戸中学校と『アンネのバラ』の深い関わりは、昭和49年（1974年）に遡ります。当時の国語の授業で『アンネの日記』を教材とした際、担当教諭の指導のもと、生徒たちがアンネ・フランクへ宛てた手紙を書き、それを一冊の文集にまとめ、アンネの父であるオットー・フランク氏に送りました。平和を願う生徒たちの純粋な気持ちに心を打たれたオットー氏は、スイスから「アンネのバラ」を贈ることを約束しました。

そして、昭和51年（1976年）3月24日、約束のバラが日本に到着しました。このバラは東京都立農業試験所で約3ヶ月間大切に育てられた後、アンネの誕生日である6月12日に高井戸中学校へと運ばれ、校内に植えられました。以来、生徒たち自身で組織する「アンネのバラ委員会」が日常の水やりなどの手入れを行っています。さらに、生徒だけでは難しい作業については、保護者や地域の住民から成る「アンネのバラ・サポーターズ」が協力し、バラの生育を支えています。

アンネのバラは、学校の象徴であるだけでなく、平和へのメッセージを伝える存在として広く認識されています。平成26年（2014年）に行われた一般公開日には、1200人を超える人々がこのバラを見に学校を訪れました。また、高井戸中学校で大切に育てられたバラの株は、平和のバトンとして北海道から九州に至る全国各地の学校や関連施設に分譲されています。それぞれの場所で根を張り、美しい花を咲かせることで、アンネの願いと平和への祈りが受け継がれています。

沿革

1947年 - 学校が開校。
1957年 - 校歌（作詞：金田一京助、作曲：高木東六）が制定される。
1982年 - 難聴学級が設置され、聴覚障がい教育を開始。

著名な出身者

本校からは、様々な分野で活躍する多くの卒業生を輩出しています。（五十音順）

石川次郎（編集者、テレビ司会者）
小椋一宏（HENNGE創業者・社長兼CTO）
鈴木福（俳優・モデル）
松居友（児童文学者、フィリピン・ミンダナオ図書館の主宰、マノボ族の首長）
横山健（ミュージシャン）

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