杉原祥造

杉原祥造の生涯と研究業績

杉原祥造（すぎはらしょうぞう）は、1883年7月に兵庫県尼崎市で生まれた日本の刀剣研究家です。彼は日本刀の深い知識を持ち、特に数珠丸恒次の再発見によって名を馳せました。最初は歯科医を目指し、大阪の歯科医院での研修の後、東京の歯科医専門学校に進学しました。しかし、19歳の時、海軍水路部の技師である神津伯との出会いをきっかけに、日本刀に魅了され、歯科医専門学校を中退して刀剣研究に専念することを決意しました。

刀剣研究の活動開始

1918年、杉原は國學院大學で日本刀に関する講義を開始し、刀剣研究の第一人者としての地位を築きます。1920年には中央刀剣会の評議員に任命され、その後幹事および審査員としても活動しました。また同年、彼は「杉原日本刀学研究所」を設立し、日本刀の学術研究と普及に努めました。この研究所の設立と並行して、杉原は競売に出された数珠丸恒次を偶然発見し、私財を投じて購入しました。この刀は、享保以来行方不明となっていたため、その発見は大きなニュースとなりました。公開後、杉原はこの刀を元の所持者である久遠寺に返還しようと試みましたが、信頼されず、最終的には彼の故郷である尼崎市の本興寺に寄贈しました。

研究への取り組み

杉原は1922年には文部省の古社寺保存会の委員に選ばれ、40歳という若さで国宝指定に関わる貴重な役割を担いました。しかし、関東大震災では多くの刀剣や資料を失うという試練も経験します。しかし、彼はそれに屈せず、長曽祢虎徹に関する研究を続け、『長曾祢乕徹の研究』を著すために尽力しました。彼は刀剣や投資により多くの財産を築き、その資金を名刀の購入にあてました。

後の業績と影響

杉原は競馬にも情熱を注いでおり、科学的なアプローチを用いて感覚を研ぎ澄ませ、成功を収めました。しかし、彼の乗馬の趣味は医者から禁止されていたにもかかわらず続けられ、最終的には1926年に乗馬中に脳溢血により急逝しました。その後、彼の業績は弟子たちによって継承され、特に内田疎天は彼の著作に手を加え、『長曾祢乕徹の研究』を出版しました。また、杉原の研究は大阪刀剣会に受け継がれ、機関紙である『愛剣』に掲載されました。

収集と影響

杉原は自身の従兄弟である加島勲により、千数百本の日本刀コレクションを持ち、多数の刀剣に関する文献も収集していたとされています。「白虹秘鑑」には彼が摺った3,800振以上の押型が収められ、特に重要文化財に指定された山姥切国広の押型も含まれています。このように、杉原は刀剣の研究と保全に多大な貢献をした人物でした。彼の生涯と業績は、日本刀の専門家たちにとって、今なお大きな影響を与え続けています。

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