山姥切国広

山姥切国広（やまんばぎりくにひろ）

山姥切国広は、安土桃山時代に作られた日本刀で、現在では重要文化財として指定されています。その重要文化財指定名は「刀 銘九州日向住国広作 天正十八年庚刁弐月吉日平顕長（山姥切）」であり、特に日本刀の歴史において重要な位置を占めています。

概要と背景

山姥切国広は、著名な刀工である堀川国広によって作刀されました。この刀は、南北朝時代の名刀である備前長船長義作の写しとして製作されたもので、当時の刀工の技術と美意識を示しています。特に、本作長義に対する意識が強く、地刃の働きや素晴らしい造りは長義の特長を引き立てるものであったと評価されています。刀剣研究家の本間順治は、この刀剣を模作以上の価値を持つ作品として高く評価しました。

本作が1962年に重要文化財に指定されたことは、この刀剣の歴史的価値を再確認する出来事でした。また、本作長義自身も1949年に重要文化財に指定されており、それ以降、この二振りの刀が同時に重要文化財として認められている例は他になく、その特異性が際立っています。

作刀の経緯

山姥切国広は1590年（天正18年）2月、足利城主の長尾顕長の依頼により作刀されたことが、銘文から明らかです。刀工がどこでこの刀を製作したのかは諸説あり、小田原城や足利学校での制作が推測されています。刀工たちが持っていた季節に基づく作刀の慣習も影響しており、国広の刀にもその習慣が色濃く表れています。

来歴

山姥切国広は、後北条氏が滅亡した後も伝承され続け、その存在が1920年に刀剣研究家の杉原祥造によって確認されました。所有者の三居翁によると、この刀は関ヶ原の戦いにおいてともに戦った者たちのもとで受け継がれ、さらには明治維新後に質入れされ、一時的に不明となりましたが、その後再発見されました。最終的に1962年に重要文化財として指定され、現在では千葉県の個人がその所有者とされているとのことです。

文化的な影響

近年では、2015年に公開されたゲーム「刀剣乱舞」によって山姥切国広は再び注目を集めました。このゲーム内でのキャラクター化を通じて、若い世代にもその名が広まり、多くの人々がこの刀の魅力に触れる機会となりました。また、足利の美術館などでの公開展示も行われ、来場者数を記録的に増加させる要因となっています。

2023年、足利市に山姥切国広を取得するための「縷縷プロジェクト」が発表され、その基盤には地域の人々による支援がありました。クラウドファンディングやふるさと納税などを通じて多くの資金が集まり、山姥切国広の保存と維持に向けた取り組みが進められています。

名称の由来

「山姥切国広」の名前は、刀剣研究家の杉原祥造の押形によって記録されたものであり、当時の所有者のエピソードに基づいています。この名は本作長義のものとされていましたが、後にその由来に関する研究が進む中で、本作国広がこの名を名乗る理由が明らかになっていきました。

刀身の特徴

刀の全長は89.99センチメートル、刃長は70.6センチメートルで、非常に堂々たる姿です。地鉄は板目で、特に優れた鍛造技術を示すものであり、刃文は複雑な模様を描いています。

この日本刀の持つ歴史、技術、文化的価値は今なお多くの人々に愛され、研究されています。山姥切国広は日本刀の中でも特に重要な存在として位置づけられており、その魅力は尽きることがありません。

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