杉山三郎

杉山 三郎（すぎやま さぶろう）氏は、1952年に静岡県で生まれた、日本の著名な人類学者および考古学者です。専門はメソアメリカ地域における考古学と人類学で、この分野における長年の研究活動を通じて、人類学博士号を取得しています。

杉山氏のキャリアは、地元の静岡県での発掘調査から始まりました。1976年8月から1978年10月にかけて、藤枝市三軒家で行われた発掘調査団の一員として初期の経験を積みました。その後、メソアメリカ研究への情熱を追求するため、1978年にメキシコへ渡ります。メキシコ国立人類学歴史学研究所では、測量士としてキャリアをスタートさせ、後に研究員へと昇進し、1987年7月まで活動しました。このメキシコでの経験は、後のメソアメリカ考古学研究の礎となりました。並行して、1981年3月には東京経済大学経済学部を卒業しています。

専門性をさらに深めるため、杉山氏はアメリカ合衆国での学術研鑽に励みました。1987年8月にはマサチューセッツ州のブランダイス大学人類学学科の博士課程に進学しましたが、後にアリゾナ州立大学人類学学科に移り、研究を続けました。1995年5月に同大学で博士課程を修了し、人類学の博士号を取得しました。博士課程在籍中および修了後も、アリゾナ州立大学にて研究助手（1990年8月～1994年7月）や研究員（1995年7月～1999年3月）を務め、研究キャリアを積みました。また、ハーバード大学のダンバートン・オークス博物館では、1994年8月から1995年6月にかけて、さらに2005年9月から2006年3月にかけてフェローとして滞在し、専門研究を深めました。

1999年4月からは日本の愛知県立大学に活躍の場を移し、外国語学部の助教授として教鞭を執り始めました。2001年4月には同大学の外国語学部および大学院国際文化研究科で教授に昇進し、多くの後進の育成に携わりました。2008年3月に一度退任した後も、2009年4月からは同大学大学院の特任教授として教育・研究活動を続けました。また、2013年4月からは愛知県立大学多文化共生研究所の所長を務めるなど、大学における要職も歴任しました。日本の大学での活動と並行して、アリゾナ州立大学でも人類進化・社会変化学部の研究准教授（2006年7月より）、後に研究教授（2015年度より）をパートタイムで務め、国際的な研究活動を継続しています。

杉山氏の最も著名な業績の一つに、メキシコ中央高原に位置する古代都市テオティワカンにおける発掘調査があります。特に「月のピラミッド」を中心とした大規模な調査を長年にわたり主導しました。その研究成果は、文部科学省の科学研究費補助金報告書としてまとめられており、『計画都市テオティワカンの発祥とモニュメント : 月のピラミッド発掘資料の分析と解釈』や『中米古代国家の形成とイデオロギー : テオティワカン「月のピラミッド」発掘調査』といった報告書に記されています。これらの研究は、テオティワカンという古代都市の計画性、主要モニュメントの役割、そして当時の社会構造やイデオロギーの解明に大きく貢献しました。

その幅広い活動と顕著な業績は、広く社会にも知られています。特に2009年2月10日に放送されたNHKの番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』では、「ロマンに生きても、いいじゃないか」というタイトルでその研究者としての姿が紹介され、多くの人々に感動を与えました。他にも、2017年4月8日放送の『SWITCHインタビュー 達人達』では俳優の平岳大氏と対談し、2024年3月28日にはNHKで放送された『フロンティア・古代メキシコ 失われた文明の謎』にも出演しています。

長年の学術研究と教育への貢献が認められ、2023年4月には瑞宝小綬章を受章しました。杉山三郎氏は、メソアメリカ考古学・人類学の分野における第一人者として、国際的に活躍し続けています。

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