杉山参緑

杉山参緑の生涯と文学

杉山参緑（すぎやま さんろく）は、1926年11月14日に福岡市で生まれた日本の詩人です。彼は、著名な家系に生まれ、祖父は政財界のフィクサーとして知られる杉山茂丸であり、父は作家の夢野久作、兄はインドの「緑の父」として名を馳せた杉山龍丸でした。そのような家族の中で育った参緑は、詩作を通じて独自の道を歩むことを選びました。

参緑は1945年、福岡中学を卒業後、陸軍に従軍し、その後終戦を迎えました。戦後、彼は福岡に戻り、1949年に西南学院専門学校商業科を卒業しました。その後は西戸崎小学校で1年間勤務した後、神官の見習いとして筥崎宮や宇美八幡宮に従事しました。1951年には福岡市のバプテスト教会で洗礼を受け、宗教的な影響を受けながらも詩人としての道を模索し続けました。

特に著名な文学活動のひとつに「生命派の会」の主宰があります。これは彼が芥川影之介の名義で活動していた時期とも重なり、彼の独自の文学スタイルを確立していきました。定職には就かずに生活をし、金銭面においては兄や弟からの援助を受けながら生活していた様子も興味深いです。1957年には、同じく詩人たちと共に福岡文芸家協会を結成し、地元の文学シーンに活力をもたらしました。

参緑の住まいは「立花山正月堂」と名づけられた福岡市東区唐原にあり、彼はそこで余生をすごしました。彼の自宅は、書斎から玄関にかけて本や空缶、石ころが山のように積まれていたと言われており、その独特の生活様式からは彼の詩人としての繊細な感性が伺えます。特に、晩年には福岡市東区香住ヶ丘のバプテスト教会に所属し、精神的な支えを求めていたことでしょう。

杉山参緑は、詩人としてはもちろん、人間としても非常に魅力的な人物でした。彼を知る友人たちは「白髪小僧のような姿の彼は、生涯独身であり、定職も持たず、道端を歩きながら石ころを拾う姿が印象的だった」と語ります。その独特の存在感と、普通の生活から離れた生き方は、周囲からは奇異な人と見られていたかもしれませんが、彼自身は路傍の石に対しても深い思いを寄せていた詩人でした。

彼の詩集には『曙光』、『生命派』、『腕』、『囁』、そして『一匹羊』などがあり、すべて芥川影之介名義で生命社から出版されました。また、彼の没後には遺稿集『種播く人々』が1990年に刊行され、多くの新たな読者に参緑の詩が触れられる機会を提供しました。

杉山参緑の作品は、彼の独自の視点や感受性に基づいた深い思索が盛り込まれており、今も多くの人々に感動を与え続けています。彼の詩には、普遍的なテーマである生命や孤独、自然への愛情が表現されており、詩人としての真摯な姿勢が伝わってきます。

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