杉山文野

杉山文野

杉山文野（すぎやま ふみの）は、1981年8月10日生まれの日本のトランスジェンダー活動家であり、元フェンシング日本代表という経歴を持つ人物です。現在は、東京レインボープライド共同代表理事、NPO法人「ハートをつなごう学校」代表として、多様性社会の実現に向けて精力的に活動しています。FTM（Female To Male）であることを公言し、自身の経験を基に社会への提言を行っています。

来歴と活動

東京都新宿区歌舞伎町で老舗とんかつ店の次女として生まれた杉山氏は、日本女子大学附属の幼稚園から高校まで進み、早稲田大学教育学部を卒業。その後、同大学院教育学研究科に進学しました。大学院在学中の2004年には、女子フェンシング日本代表として活躍しました。元フェンシング日本代表の太田雄貴氏とは、学生時代からの20年以上の親交があります。

早稲田大学でジェンダー論を学んだ後、自身の体験と研究内容をまとめた著書『ダブルハッピネス』を2006年に出版。この本は、後に韓国語翻訳やコミック化もされるなど、大きな反響を呼びました。大学院卒業後は、2年間のバックパッカー生活で世界約50か国と南極を巡り、帰国後、大手外食系企業に3年ほど勤務。2014年には、株式会社ニューキャンバスを設立し、多様性に関する講演や研修、企画提案事業を展開しています。

杉山氏は、2009年に乳房切除手術を受けています。生まれ育った歌舞伎町を拠点に、街の清掃活動を行うグリーンバード歌舞伎町チームの代表も務めています。グリーンバード設立は、現渋谷区長の長谷部健氏のアイデアがきっかけであり、杉山氏と同性カップルに証明書を発行する発想が生まれたとされています。そのため、杉山氏は2015年に始まった渋谷区の同性パートナーシップ制度の立役者の一人としても知られています。

家族と多様な生き方

ゲイである親友から精子提供を受け、パートナーとの間に2018年に女児、2020年には男児をもうけました。親友も育児に参加する3人育児という形を選択し、新しい家族のあり方を体現しています。また、「シブヤ大学」の運営メンバーや日本フェンシング協会理事、日本オリンピック委員会理事なども務め、多岐にわたる分野で活躍しています。

NPO法人東京レインボープライドでは立ち上げ時から代表を務め、2019年からは山田なつみ氏と共同代表理事として活動しています。2021年6月には日本オリンピック委員会の理事に就任するなど、スポーツ界における多様性の推進にも貢献しています。

著書

杉山氏は、自身の経験や考えをまとめた著書を多数出版しています。

『ダブルハッピネス』（講談社、2006年）
『元女子高生、パパになる』（文藝春秋、2020年）
* 『3人で親になってみた』（毎日新聞出版、2021年）

これらの著書を通じて、自身の経験を発信し、LGBTQ+に関する理解を深める活動を行っています。

メディア出演

杉山氏は、NHKの『ハートをつなごう』などのテレビ番組にも多数出演し、自身の経験や考えを発信しています。また、『世界一受けたい授業』では、著書『元女子高生、パパになる』を題材に、マイノリティーとの向き合い方について語りました。

まとめ

杉山文野氏は、トランスジェンダー活動家として、また元アスリートとして、多様な分野で活躍する人物です。自身の経験を基に、社会への提言や啓発活動を行い、誰もが自分らしく生きられる社会の実現を目指しています。

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