杉山栄太郎

杉山 栄太郎

杉山 栄太郎（すぎやま えいたろう、1923年2月18日 - 2023年4月25日）は、日本の地方行政に長く携わった人物であり、特に石川県の発展に貢献した地方公務員である。石川県副知事を務めるなど、要職を歴任した。

生涯

1923年2月18日、石川県金沢市に生を受けた。旧制松任農学校（現在の石川県立翠星高等学校）で学び、卒業後は兵役に服した。終戦後の混乱期を経て、1947年に石川県庁に入庁。地方公務員としてのキャリアをスタートさせた。

県庁では、その能力と経験を活かし、様々な部署で経験を積んだ。秘書課長や総務部長といった県政の中枢を担う重要なポストを歴任し、行政運営における手腕を発揮した。長年にわたる実務経験と、県政全体を見渡す視点は、その後のキャリアにおいて重要な基盤となった。

そして、1979年12月、石川県の副知事に就任した。副知事としては、知事を補佐し、県政の企画立案、政策の推進、危機管理など、多岐にわたる職務を担った。およそ12年間にわたり副知事の職にあり、この間、石川県は社会情勢や経済環境が大きく変化する時代を迎えており、その中で県政の安定と発展のために尽力した。地域経済の振興、インフラ整備、住民サービスの向上など、幅広い分野で貢献した。

1991年に副知事を退任すると、同年には石川県知事選挙への立候補を決意する。長年培った行政経験を基に、新たな石川県政の実現を目指し、選挙戦に挑んだ。しかし、この選挙では現職であった中西陽一氏の壁は厚く、約1万1000票差で惜しくも敗れ、知事への道は閉ざされた。

公職を退いた後も、その功績は高く評価された。1997年には、長年の地方行政への貢献が認められ、勲二等瑞宝章を受章している。

晩年も社会との関わりを持ち続けた。2019年時点では、世界平和の実現を目指す世界連邦運動協会石川県連合会の名誉会長を務めるなど、幅広い分野に理解を示し、地域社会や国際平和に関心を寄せていた。その穏やかな人柄は、多くの人々に慕われた。

2023年4月25日、誤嚥性肺炎のため、静かに息を引き取った。満100歳という長寿を全うした生涯であった。戦前・戦中・戦後という激動の時代を生き抜き、そのキャリアの大部分を石川県の行政に捧げた杉山栄太郎氏の人生は、まさに一地方公務員として地域社会に貢献した模範的な生涯であったと言える。

自身の公務員としての経験や視点をまとめた著書として、『県政四十年』が1996年に北國新聞社から刊行されており、石川県政の歴史や当時の行政の様子を知る上での貴重な資料となっている。

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