杉山治夫

杉山治夫：波乱万丈な生涯

杉山治夫（1938年 - 2009年）は、昭和時代にその名を轟かせた実業家であり、消費者金融業界において「闇金のカリスマ」として知られました。高知県高知市で生まれた杉山は、貧困にあえぐ幼少期を過ごし、その後の人生も波乱に満ちたものでした。

貧困からの出発

杉山の少年時代は、父親のギャンブルと飲酒癖が原因で、非常に困窮したものでした。一家は農家の納屋で生活するほどの貧しさで、杉山自身も空腹のために小学校にほとんど通うことができず、畑の作物を盗んで飢えをしのぐ日々でした。中学校に進学するも、満足に通うことはできず、時計店に丁稚奉公に出されました。しかし、そこでは3度の食事が与えられ、懸命に働くことで、将来への希望を燃やしていたと述懐しています。

起業と二度の倒産

20歳で独立した杉山は、23歳で結婚するなど順風満帆に見えましたが、事業の失敗と不渡りによって倒産を経験します。借金の取り立てに来た暴力団関係者に首まで埋められるなどの過酷な経験もしましたが、高利貸しの社長秘書に転職し、その後高知に戻り「杉山眼鏡」を設立。再びホテル経営や高利貸しなどの事業に乗り出しますが、暴力的な取り立てが原因で留置されることになります。その後、杉山グループの中核となる日本百貨通信販売を設立するも、再び倒産を経験します。

「闇金のカリスマ」として

1980年代以降、杉山は消費者金融・闇金融による暴力的な取り立てで社会問題化し、「闇金のカリスマ」としてワイドショーの取材を受けるようになります。取材中に紙幣をばら撒いたり、激昂して椅子を持ち上げるなど、派手なパフォーマンスで注目を集めました。政治家との激しいやり取りや、テレビ番組での演出騒動など、その行動は常に世間の耳目を集めました。アメリカの週刊誌『タイム』の取材では、札束に埋もれた写真撮影を快諾し、その様子が掲載されました。

実刑判決と獄中での死

2002年、杉山は詐欺罪で逮捕され、懲役7年6ヶ月の実刑判決を受けます。収監された獄中で2009年に病死しました。享年71歳。その波乱に満ちた生涯は、多くの人々に衝撃を与えました。

杉山治夫は、貧困から這い上がり、巨万の富を築き上げた一方で、その強引な手法や暴力的な側面も持ち合わせていました。彼は、昭和という時代を象徴する人物の一人として、その名を歴史に刻んでいます。

著書

『ドキュメント新 悪の錬金術 - 世の中・金や金や!』
『実録 悪の錬金術 - 世の中金や金や! 』
* 『実録 裏金融界の黒い罠 - 借金返せにゃ腎臓を売れ』

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