杉本茂雄

杉本 茂雄

杉本 茂雄（すぎもと しげお）は、1926年12月4日に兵庫県神戸市で生を受け、2002年4月2日にその生涯を終えた人物です。彼はサッカー選手として優れた才能を発揮し、日本代表としても活動した後に、実業家として阪急グループのホテル事業で重要な役割を果たしました。選手時代のポジションはハーフバック（HB）やフルバック（FB）でした。

神戸市に育った杉本氏は、兵庫県立第一神戸中学校を卒業後、関西学院大学法学部へ進学しました。大学ではサッカー部に所属し、学生選手として技術を磨きました。1948年3月に大学を卒業後、同年4月には京阪神急行電鉄株式会社（現在の阪急電鉄）に入社しました。

阪急電鉄に入社後も、杉本氏はサッカーへの情熱を持ち続けました。彼は、現役選手とOBによって編成された混成チームである「関学クラブ」または「全関学」の一員として、日本のサッカー界における主要な大会であった全日本選手権大会（現在の天皇杯全日本サッカー選手権大会）に出場しました。このチームの主力選手として、1950年、1953年、1955年と、実に3度にわたる優勝に大きく貢献し、選手としての輝かしい実績を築きました。

その活躍は日本代表にも及びます。1951年2月11日に行われた全関西戦で、杉本氏は初めて日本代表のユニフォームに袖を通しました。国際舞台においても、1951年3月にインドのニューデリーで開催された第1回アジア競技大会や、1954年3月に行われた1954 FIFAワールドカップ・スイス大会の予選などに出場。国際Aマッチとして記録されている3試合を含む、合計で6試合の代表戦に出場記録を残しています。

サッカー選手として第一線を退いた後、杉本氏は実業家としてのキャリアに軸足を移しました。1963年7月には、京阪神急行電鉄から同じグループに属する新阪急ホテル株式会社（現在の株式会社阪急阪神ホテルズ）へ異動しました。ホテル事業において、彼は経営の要職を歴任していきます。

1977年10月には、新阪急ホテルの取締役に就任し、食堂部門を統括する食堂部長を兼任しました。さらに昇進を重ね、1981年10月には常務取締役に就任し、宴会部門を率いる宴会部長を務めました。経営幹部として、ホテルの運営やサービス向上に尽力しました。

また、新阪急ホテルアネックスの経営にも関わりました。1984年8月からは同ホテルの取締役に就任し、1987年11月からは常務取締役（人事部長）として、組織運営や人材育成の面で重要な役割を果たしました。これらの役職を通じて、阪急阪神ホテルズグループにおける事業拡大と発展に貢献しました。

ホテル事業以外にも、北浜清友会館の会長を務めるなど、幅広い分野で活動を行いました。多岐にわたるキャリアを積んだ後、2002年4月2日、腎不全のため75歳で逝去しました。杉本茂雄氏は、戦後の日本サッカー黎明期における名選手であり、同時に阪急グループのホテル事業を支えた有能な実業家として、その名を歴史に刻んでいます。

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