杉浦克己

杉浦克己（すぎうら かつみ）

杉浦克己は、1937年7月1日に愛知県で生まれ、2001年8月7日に逝去した日本の経済学者です。マルクス経済学を専門とし、東京大学名誉教授、帝京大学教授を務めました。

生涯

愛知県で生まれ、安城高等学校を卒業後、1963年に東京大学経済学部を卒業しました。1968年には東京大学大学院経済学研究科を単位取得満期退学し、法政大学の助手となります。その後、1969年に法政大学講師、1970年に東京大学教養学部講師、1972年に同助教授、1984年に教授へと昇進しました。

東京大学では、教養学部だけでなく、大学院経済学研究科や総合文化研究科でも教鞭を執り、後進の育成に尽力しました。1998年に東京大学を定年退職した後、帝京大学教授に就任し、2000年には経済学部長を務めました。しかし、2001年に在職中に胃がん及び肝臓がんのため、その生涯を閉じました。

学説

杉浦克己は、宇野弘蔵の経済学を基盤とし、新古典派経済学を批判しました。彼は、市場原理と非市場原理の統合を目指し、経済構造を制度と進化の問題として捉える構想を持っていました。彼の研究は、単なる経済理論の枠を超え、社会全体の構造を深く考察しようとするものでした。

著書

杉浦克己は、多くの著書や共著を通じて、その研究成果を社会に発信しました。主な著書には以下のようなものがあります。

『コミュニケーションの共同世界――相関社会科学序説――』（東京大学出版会、1993年）

また、共編著としては、

『世界恐慌と国際金融 大戦間恐慌史研究』（侘美光彦共編、有斐閣、1982年）
『国際金融 基軸と周辺』（侘美光彦共編、社会評論社、1986年、マルクス経済学叢書）
『経済のマネージァビリティ 新自由主義からの批判に耐えうるか』（川上忠雄共編、法政大学出版局、1989年、比較経済研究所研究シリーズ）
『市場社会論の構想 思想・理論・実態』（高橋洋児共編著、社会評論社、1995年）
『21世紀の経済社会を構想する 政治経済学の視点から』（森岡孝二、八木紀一郎共編、桜井書店、2001年）
* 『多元的経済社会の構想』（柴田徳太郎、丸山真人共編著、日本評論社、2001年）

などがあります。これらの著書は、彼の研究テーマである市場経済と社会構造の関係、そして経済学の新たな視点を探求する上で重要な貢献をしています。

杉浦克己の業績は、マルクス経済学の発展に貢献しただけでなく、現代経済が抱える様々な課題を理解する上で、重要な視点を提供しています。彼の学問的遺産は、今後も経済学研究において、深く考察され続けるでしょう。

もう一度検索