杉浦翠子

杉浦 翠子について

杉浦 翠子（すぎうら すいこ）は1885年5月17日に埼玉県川越に生まれ、1960年2月16日に生涯を閉じた日本の歌人です。旧姓は岩崎翠（いわさき みどり）であり、明治から昭和にかけて活躍した彼女は、名著の数々を残し、日本の文壇において重要な役割を果たしました。また、彼女の夫であり日本のグラフィックデザインの草分けでもある杉浦非水の影響を受け、文才を発揮しました。

幼少期と教育

彼女は六人兄弟の三女として、父・岩崎紀一と母・サダのもとに生まれましたが、幼少期に両親を失い、祖母に育てられました。祖母が亡くなった後、彼女は東京赤坂に住む姉の家に身を寄せ、その後国語伝習所と女子美術学校を卒業しました。学校生活の中で彼女は多くの知識を吸収し、才能を開花させていきました。

杉浦非水との出会い

彼女の人生に大きな影響を与えたのは、彼女の夫となる杉浦非水との出会いです。若く美しい翠子に魅了された非水は、明治37年に約9歳年上の彼女と結婚しました。彼女は、兄の桃介のような拝金主義に反発し、デザインが持つ精神性に惹かれていきました。彼女は新たな文化を追求し、詩と絵の世界で自己を表現していきました。

詩的活動と影響

翠子は北原白秋、斎藤茂吉に師事し、1916年にはアララギに参加します。この雑誌の中で彼女は次第にその才能を発揮し、情熱的な作品を多く発表しました。しかし、彼女はアララギの編集者たちとの不和により1923年に退会し、そこにおける短歌の精神性や社会批判の欠如を厳しく批判しました。
その後、1933年には「短歌至上主義」を創刊し、主知的な短歌のスタイルへと転身しました。

作品と業績

杉浦翠子の歌集には「寒紅集」「藤浪」「生命の波動」「みどりの眉」などがあります。小説も数冊著しており、「かなしき歌人の群」や「彼女を破門せよ」などがその代表作です。特に歌集は、彼女の内面的な感情や社会に対する強い視点を反映した作品が多く、時代の流れとともにその価値を評価されています。

最後の年

彼女は1960年2月、自宅で病により亡くなりました。最愛の夫、杉浦非水の死からわずか5年前のことであり、その悲しみを抱えながらの最期であったと言われています。彼女の人生は多くの影響を与え、その作品たちは多くの読者に親しまれています。彼女の詩や小説が持つクリエイティブな力は、後世に引き継がれています。

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