李宇衍

李宇衍（イ・ウヨン）について

李宇衍は、韓国の経済史を学ぶ著名な学者であり、落星台経済研究所の研究委員として活躍しています。また、李栄薫編著の『反日種族主義』の共同著者でもあります。彼は1966年に全羅南道光州に生まれました。特に、彼の研究は韓国と日本の歴史的な問題を中心に展開されており、その中で日韓の請求権問題についての見解が注目されています。

略歴

李は成均館大学で、李氏朝鮮後期以降の山林の所有権の変遷に関する研究で博士号を取得しました。その後、アメリカのハーバード大学での訪問研究員を経て、九州大学の客員教授としても活動していました。これらの経験は、彼の研究に多様な視点をもたらしています。

主要な活動

李宇衍は、2018年10月に韓国最高裁が日本企業に対して徴用工問題での賠償を命じる判決を下したことに触れ、「1965年の日韓請求権協定を守るべきだ」と主張しています。この協定は日韓の請求権問題の完全かつ最終的な解決を目指すものであり、李の立場はこの合意を重視するものです。

また、彼は日本政府が1939年から行った朝鮮半島での労働動員に焦点を当て、日本各地の炭鉱で支払われた賃金に関する調査を行いました。その結果、朝鮮人の炭鉱労働者が日本人労働者よりも高い賃金を受け取っていた証拠を示し、「待遇差別は存在しなかった」との結論に達しました。李は、朝鮮人の炭鉱労働者の熟練度が向上することで、日本人労働者と同等またはそれ以上の賃金を得ていたとの見解も示しています。

さらに、李は日本統治下の韓国における「強制労働」の概念に疑問を呈し、その主張を歴史的に検証しています。彼は韓国国内での徴用工像や慰安婦像の撤去運動にも関与しており、これらは歴史的事実に基づいていないとの立場を取っています。

国際的な発言と反響

2019年7月には、国連人権理事会において徴用工問題に関する自らの研究結果を発表しました。この場で彼は、朝鮮人の労働者が日本人と同等の賃金を受け取っていた事実を強調し、日本と韓国の関係改善のための調査を一次資料に基づくべきだと訴えました。

この発言は韓国内で反発を招き、彼に対する脅迫や暴行も発生しました。しかし、彼は「社会の関心が集まることは重要」とし、活動を続ける意向を示しました。

2019年12月には、ソウルで開かれていた日本政府に対する糾弾集会で、彼自身が襲撃される事件が発生しました。この事態も、彼の提唱する立場に対する関心とその反響を如実に示すものとなりました。

著書・論文

李宇衍の業績には、著書や論文も含まれています。特に「「強制動員」の神話」や「果たして「強制労働」「奴隷労働」だったのか？」という作品では、従来の歴史観とは異なる視点からの分析を試みています。また、最近の研究成果が『反日種族主義』という書籍にも収められています。

彼の研究や主張は、韓国国内外で賛否を呼び起こしており、歴史と経済の交差点に立って重要な議論を展開していると言えるでしょう。

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