李宸妃

宸妃李氏：仁宗を産んだ女性

宸妃李氏（しんひ りし）は、北宋の第3代皇帝である真宗の側室であり、後の仁宗皇帝の実母です。彼女は、章懿皇后の諡号を贈られています。

生涯

李氏は杭州銭塘県の出身で、庶民の李仁徳と董氏の娘として生まれました。彼女は最初は尼僧でしたが、後宮に入り、美人劉氏（後の章献皇后）の侍女となりました。李氏は寡黙で荘重な性格だったと伝えられています。

真宗との関係を持った李氏は、趙禎（後の仁宗）を産みました。しかし、当時の事情により、李氏の子は劉氏の子として育てられることになりました。他の后妃が産んだ男子が早世していたため、趙禎が太子となると、劉氏は皇后に昇進しました。李氏は低い身分の妃嬪として崇陽県君に封じられました。

その後、李氏は公主を産み、大中祥符9年（1016年）に才人、天禧2年（1018年）には婉儀（従一品嬪）となりました。

真宗が崩御すると、李氏は順容（従一品嬪）に進封され、園陵の奉仕にあたりました。明道元年（1032年）に病が重くなると、宸妃の位に進められましたが、まもなく死去しました。翌年、皇太后劉氏が崩御すると、仁宗は初めて李宸妃が実母であったことを知り、深く哀悼したとされています。李宸妃は皇太后として追尊され、荘懿と諡されました。慶暦4年（1044年）には、夫の諡を重ねて「章懿」と改諡されました。

仁宗は実母を哀れに思い、自身の長女である福康公主（荘孝帝姫）を李宸妃の甥である李瑋に降嫁させました。しかし、夫婦仲は悪く、結局離婚することになりました。

子女

趙禎（仁宗）
恵国公主（静一帝姫）

史跡

台湾の彰化県にある慶安宮には、李宸妃が娘娘として祀られています。

狸猫換太子

李宸妃は、「狸猫換太子」の物語の女主人公として知られています。この物語は、李宸妃が産んだ子を劉氏が自分の子としてすり替えたという内容で、京劇などの演目にもなっています。

参考文献

『宋史』巻242 后妃伝上 李宸妃伝
『宋会要輯稿』巻12 后妃一 章懿李太后

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