李班

李班（りはん）：成漢王朝、短命に終わった皇帝の生涯

李班（りはん、300年 - 334年）は、五胡十六国時代の成漢の第2代皇帝。初代皇帝である李雄（りゆう）の甥にあたります。しかし、皇位を継承してからわずか1年足らずで暗殺され、波乱に満ちた生涯を閉じました。

生い立ちと皇太子時代

李班の父は、李雄の兄である李蕩（りとう）です。李蕩は、李特（りとく）の挙兵に従い、数々の武功を挙げましたが、志半ばで戦死しました。李班もまた、父の事業に参画し、時期は不明ながら平南将軍に任じられています。

304年、李特の事業を引き継いだ李雄は成漢を建国しました。李雄は、兄・李蕩の長子である李琀（りかん）を後継ぎにしようと考えていましたが、李琀とその弟の李稚（りち）が戦で相次いで亡くなったため、324年に李蕩の子である李班を皇太子に立てる事を決意します。

李雄には十人余りの子がいましたが、群臣の反対を押し切って李班を皇太子にしました。李班は謙虚な性格で他人の意見を広く受け入れ、儒者や賢人を敬愛したため、人望を集めていました。

即位と暗殺

334年6月、李雄が病に倒れると、李班は昼夜問わず看病にあたりました。同年、李雄が崩御すると、李班が皇位を継承し、李寿（りじゅ）を録尚書事に任じて補佐を命じます。李班は喪に服し、政治は李寿らに委ねました。

しかし、李班が李雄の実子でないことに不満を抱く者がいました。江陽を鎮守していた李越（りえつ）は、李雄の死に乗じて成都に入り、弟の李期（りき）と李班暗殺を計画します。

李班の弟である李玝（りご）は、李越を江陽へ帰還させ、李期を梁州刺史に任じて葭萌へ移らせるよう進言しましたが、李班は李越らを疑わず、厚遇しました。同年10月、李班が夜に哭霊していた時、李越は殯宮に侵入し、李班を殺害しました。享年47歳、在位期間は1年に満たない短さでした。

死後

李越は弟の李期に皇位を継承させました。李班は戾太子（れいたいし）と諡されましたが、337年に李寿によって李期が廃位されると、哀皇帝（あいこうてい）と追諡されました。

李班は、短命ながらも謙虚で人望の厚い皇帝であり、その死は成漢王朝の混乱を招く一因となりました。彼の生涯は、五胡十六国時代の複雑な政治情勢を物語るものとして、歴史に刻まれています。

宗室

父：李蕩
母：羅夫人（羅皇太后の姪）
養父：李雄（武帝）
兄弟：李琀、李稚、李都、李玝

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