梁州

梁州：中国史に名を刻む古の州

梁州（りょうしゅう）は、中国の歴史において重要な役割を果たした州の一つです。その範囲は時代とともに変遷し、行政区分や管轄地域も大きく異なりました。

九州としての梁州

古代中国の地理書『書経』によれば、梁州は九州の一つとされ、現在の四川省と陝西省の漢中地方に相当するとされています。この時代における梁州は、まだ具体的な行政区画としての形を持っていませんでした。

魏晋南北朝時代の梁州

後漢の時代に州制が施行されましたが、当初梁州は設置されず、代わりに益州が置かれました。しかし、263年に魏が蜀を滅ぼすと、益州を分割して新たに梁州が設置され、州治は沔陽県に置かれました。282年には西晋により州治が南鄭県に移され、漢中郡・梓潼郡など8郡44県を管轄する広大な地域となりました。

その後、五胡十六国時代の混乱期に入ると、成漢が益州と梁州を占拠し、東晋は一時的に襄陽県に梁州を僑置せざるを得ませんでした。成漢を滅ぼしてその版図を組み入れると、梁州は再び元の地に戻されました。南朝宋の時代には、漢中郡・魏興郡など20郡を管轄するまでになりました。

南朝斉の時代になると、梁州の管轄範囲はさらに拡大し、漢中郡・魏興郡を含む68郡を管轄する巨大な州となりました。しかし、その後の南北朝時代の争乱の中で、梁州の支配権は目まぐるしく変動しました。

504年には北魏が南朝梁から梁州を奪取し、晋昌郡など5郡14県を管轄しました。その後、南朝梁が奪回するも、552年には西魏に降伏し、その支配下に入りました。

隋唐代の梁州

583年、隋が郡制を廃止すると、梁州の属郡は廃止されました。605年には洋州を併合し、13県を管轄するようになりました。しかし、607年に州が廃止されて郡が置かれると、梁州は漢川郡と改称され、8県を管轄する郡となりました。

唐代に入ると、618年に漢川郡は再び梁州と改められました。742年には漢中郡と改称されましたが、758年には再び梁州の称に戻されました。梁州は山南西道に属し、南鄭・褒城など6県を管轄しました。784年には興元府に昇格し、梁州としての歴史に幕を閉じました。

梁州は、その成立から変遷を通して、中国の政治、軍事、文化に深く関わってきました。その名は、歴史の教科書や地名辞典に今も刻まれています。

梁州の歴史を紐解くことは、中国史の奥深さに触れる旅でもあります。

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