李翰祥

李翰祥：香港映画史に輝く巨匠の生涯

李翰祥（リー・ハンシャン、1926年4月18日 - 1996年12月17日）は、中国遼寧省出身の香港を代表する映画監督です。激動の時代を生き抜き、多様なジャンルの映画を手がけ、香港映画史に多大な影響を与えました。

激動の生い立ちと香港への移住

李翰祥は、1926年に中国東北部の奉天省で生まれました。幼少期に父の仕事の関係で移住を繰り返し、日本軍の侵攻を逃れるため北京へ。北平芸術専科学校で西洋画を学ぼうとしましたが、学歴の問題で除籍となり、1948年に香港へ移住しました。

映画界での活躍：俳優から巨匠監督へ

香港では永華電影公司に俳優として入社、その後美術スタッフなどを経て、1954年、『嫦娥』で共同監督として映画監督デビューを果たします。その後、邵氏兄弟(ショウ・ブラザーズ)に移籍。同社では、黄梅調と呼ばれる歌唱時代劇映画の隆盛期に中心人物として活躍し、『江山美人』や『梁山伯と祝英台』といったヒット作を世に送り出しました。特に『梁山伯と祝英台』（1963年）は、金馬奨で最優秀作品賞を含む6部門を受賞する快挙を達成、その名を広く知らしめました。

台湾映画界への進出と独立プロダクション

1963年、李翰祥は台湾で国聯影業を設立、独立プロとして活動を開始します。1965年には『西施』を監督、これも金馬奨で5部門を受賞する大ヒットとなり、台湾映画史における歴史的大作と評されています。しかし、国聯影業は経営難に陥り、1970年に廃業。李翰祥は1971年に香港へ戻りました。

多様なジャンルへの挑戦と晩年

香港に戻った李翰祥は、1972年にコメディ映画『大軍閥』を監督。当時テレビで活躍していたマイケル・ホイを主演に抜擢し、映画界に貢献しました。70年代にはエロティック・コメディを多く手がけましたが、彼自身は歴史映画に情熱を注いでおり、『傾國傾城』（1975年）とその続編『瀛台泣血』（1976年）は特に力作として知られています。80年代には中国大陸との合作映画『西太后』、『火龍』などを制作。1996年、テレビドラマの撮影中に北京で心臓病発作のため急逝しました。

数々の受賞と作品群

李翰祥は、金馬奨で最優秀作品賞を3度（『梁山伯と祝英台』、『西施』、『緹縈』）、最優秀監督賞を2度（『梁山伯と祝英台』、『西施』）受賞するなど、数々の賞を受賞しました。彼の作品は時代劇、コメディ、歴史劇など多岐に渡り、その高い芸術性とエンターテイメント性から高く評価されています。代表作として挙げられるのは、『梁山伯と祝英台』、『西施』、『大軍閥』、『傾國傾城』、『西太后』などです。これらの作品は、現在でも高い評価を受け、香港映画史における重要な位置を占めています。

李翰祥の功績

李翰祥は、俳優、美術スタッフ、監督として幅広い活躍を見せ、香港映画、ひいては中国語映画の発展に大きく貢献しました。彼の作品は、時代や社会風俗を反映しながらも、普遍的なテーマを描き出し、人々の心に深く刻まれています。その多彩な才能と情熱は、後世の映画人たちに大きな影響を与え続けています。彼の死後も、彼の作品は多くの人々に愛され続け、香港映画史に輝く巨匠として記憶されています。

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