李行

李行：台湾映画史に輝く巨匠の軌跡

李行（リー・シン、1930年6月16日 - 2021年8月19日）は、20世紀後半から21世紀初頭にかけて台湾映画界を代表する監督の一人です。上海で生まれた彼は、1948年に家族と共に台湾に移住。台湾省立師範学院で演劇を学び、俳優としての活動を経て、1957年には映画『追兇記』で助監督を務めました。そして、1959年、監督として初めてメガホンを取った『王哥柳哥游台灣』を皮切りに、数々の作品を世に送り出しました。

中央電影公司時代と瓊瑤作品

1963年の『街頭巷尾』以降、李行監督は中央電影公司の「健康写実路線」を担う主要人物となりました。社会の現実を写実的に描きながらも、健全な社会像を描く作品群は、台湾社会に大きな影響を与えました。その後、1970年代には、人気作家・瓊瑤の小説を原作とした数々の映画作品を手がけ、そのロマンチックな作風で多くの観客を魅了しました。

郷土写実路線への回帰と国際的な評価

1970年代後半からは、「郷土写実路線」へと回帰。自身のルーツや台湾の文化、人々の生活を深く見つめた作品制作に力を入れます。特に1978年の『生きてる限り僕は負けない（汪洋中的一條船）』は、中国大陸でも上映され、大きな成功を収めました。この作品は、台湾と中国大陸の映画交流の橋渡しとしての役割を果たしたと言えます。

李行監督は、その卓越した演出力により、金馬奨（台湾のアカデミー賞に相当）で監督賞を3度、作品賞を7度も受賞しました。さらに、1995年には、台湾映画界への多大な貢献が認められ、金馬奨生涯功労賞を受賞。その業績は、台湾のみならず、アジア映画界全体において高く評価されています。

台湾と中国映画界の架け橋

1990年代以降は監督業からは引退しましたが、台湾と中国大陸の映画界の交流促進に尽力しました。両国の映画人たちの架け橋となり、文化交流の活性化に貢献した功績は計り知れません。

映画人生の幕切れ

2021年8月19日、心不全のため台北市で逝去。享年91歳。李行監督の逝去は、台湾映画界にとって大きな損失となりましたが、彼の残した数々の名作は、これからも多くの人々の心を動かし続け、台湾映画史に輝く金字塔として永遠に記憶されるでしょう。

主要作品

李行監督は、そのキャリアを通して、実に多くの作品を世に送り出しました。その中には、社会派ドラマから恋愛映画、そして郷土を描く作品まで、多様なジャンルが含まれています。代表的な作品を以下に列挙します。

王哥柳哥遊台灣 (1959)
街頭巷尾 (1963)
養鴨人家 (1965)
路 (1967)
秋決 (1972)
吾土吾民 (1975)
生きてる限り僕は負けない (汪洋中的一條船) (1978)
小城故事 (1979)
* 早安台北 (1979)

これらはほんの一部であり、他にも多くの秀作が存在します。彼の作品を通して、台湾の歴史、文化、そして人々の生活を垣間見ることができるでしょう。

まとめ

李行監督は、台湾映画界の黄金時代を支えた巨匠であり、その功績は計り知れません。数々の名作を生み出し、台湾と中国大陸の映画交流にも貢献した彼の功績は、永遠に人々の記憶に刻まれることでしょう。彼の作品は、これからも多くの映画愛好家によって鑑賞され続け、その魅力を語り継がれていくことでしょう。

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