李資謙

李資謙（イ・チャギョム）

李資謙（生年不明 - 1126年）は、高麗時代に強大な権力を振るった政治家です。仁川李氏の出身で、この一族は11代文宗の時代から17代仁宗の時代にかけて、高麗王室の外戚として政治の中枢を担っていました。

生い立ちと権力掌握

李資謙自身も、16代睿宗に次女を嫁がせ、門下侍中という要職に就きました。さらに、外祖父として17代仁宗を王位に就けるなど、その権勢は絶大なものとなっていきます。彼は「知軍国事」という地位を利用して、宋への独自の外交使節を派遣するなど、軍事や国政を思うままに動かしました。

王位簒奪の野望

李資謙は、「十八子圖讖説」という俗説を信じていました。この説は、「十八子」という字が「李」の字を分解したものであることから、李氏による王朝交代を暗示するものと解釈されていました。李資謙は、この俗説を根拠に王位を窺うようになり、これが仁宗との対立を深める要因となっていきました。

李資謙の乱と失脚

仁宗4年（1126年）2月、李資謙一派を排除しようとする計画が失敗に終わると、王宮は焼かれ、仁宗は李資謙によって軟禁されてしまいます。この事態を受けて、仁宗は李資謙に譲位を表明しますが、李資謙は更なる野望を抱き、仁宗の毒殺を企てます。しかし、与党であった拓俊京や李公寿、金仁存らが寝返ったことで、形勢は逆転。李資謙は政権から追放され、全羅道霊光へと配流された後、失意のうちに病死しました。

李資謙の生涯の教訓

李資謙の生涯は、権力がもたらす栄華と、その裏に潜む危険性を如実に示しています。外戚としての立場を利用して国政を壟断し、ついには王位まで狙った彼の野望は、最終的には自滅を招きました。李資謙の乱は、高麗王朝の歴史において重要な転換点となり、その後の政治に大きな影響を与えました。



参考文献

「ブリタニカ国際大百科事典」 1995年
「世界大百科事典」 平凡社 2007年
* 「アジア人物史 4」 集英社 2023年

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