李質 (明初)

李質（り しつ、生年不詳 - 1380年）は、元末から明初にかけての官僚であり、字を文彬と称しました。彼の本貫は徳慶府端渓県にあります。

生涯

李質は、卓越した才知と策略の持ち主として知られていました。元朝末期には、何真の指揮下に入り、兵を募って徳慶の乱民を鎮圧する功績を挙げました。この活躍により、隣接する州から軍事面での信頼を寄せられるようになりました。当時、嶺南に滞在していた劉三吾、伯顔子中、孫蕡、張智といった著名な人士たちは、皆、李質に対して敬意を払い、礼遇したと伝えられています。

1368年（洪武元年）、李質は、何真に従い明朝に帰順しました。彼は、中書断事に任じられ、その翌年には都督府断事に転任し、強力に司法を執行しました。1372年（洪武5年）、その能力を認められ、刑部侍郎に抜擢され、その後、刑部尚書へと昇進しました。刑部尚書時代には、刑徒の管理において公平かつ寛大な態度で臨んだとされています。また、山東地方で飢饉が発生した際には、食糧を配給するための使者として派遣されました。この際、洪武帝からは御製の詩を餞別に贈られています。その後、李質は浙江行省参政として赴任し、3年間の在任中、善政を敷いたことで知られています。彼の功績と年齢を考慮した洪武帝は、彼を南京に召還しました。南京に帰還した李質は、宮中の便殿で洪武帝に謁見し、当代の政治について諮問を受けました。この時、李質は、自身の考えを隠すことなく直言したと伝えられています。

その後、李質は靖江王の右相に任じられました。しかし、1380年（洪武13年）、靖江王朱守謙が洪武帝に対する恨みを詩に書き記したことが発覚し、廃位されるという事件が起こります。この事件に連座する形で、李質も処刑されることとなりました。

李質の生涯は、元末から明初という激動の時代において、地方官として優れた手腕を発揮し、中央の官僚としてもその能力を認められた人物であったことを示しています。しかし、晩年は、政争に巻き込まれ悲劇的な最期を迎えることとなりました。

参考文献

* 『明史』巻138 列伝第26

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