李适の乱

李適の乱

李適の乱は、1624年に発生した大規模な内乱である。この乱は李適が仁祖を王位から追放し、興安君李瑅を新しい君主として擁立することを目的に起こされた。この反乱は、李氏朝鮮の歴史において初めて王を都から避難させる事態を引き起こした重要な事件の一つである。

背景

李適は、1622年に咸鏡道の兵馬節度使に任命され、その地に赴く準備をしていた。しかし、彼は親しい友人である申景裕の誘いを受けて、光海君の退位と新しい王の擁立に加担することとなる。これにより、1623年の4月11日に西人派の主導で行われた反正において、光海君が廃位され、仁祖が即位する際に功績を上げた。にもかかわらず、彼はその大きな功績にもかかわらず恩恵にあずかることなく、二等功臣に留まることとなった。このような経緯から、李適は不満を抱き続けた。

その後、彼は平安の兵馬節度使に任命され、中央から遠く離れたため、その不満はさらに増していった。すると、李適が韓明璉、奇益献、鄭忠信、李時言らと共に「逆心を抱いている」とする密告があった。この密告は虚偽であることが証明されたが、朝廷では李適の更迭の気運が高まっていた。その影響を受け、仁祖は李適の息子、李栴を呼び寄せて尋問するという事態に発展した。

反乱の経過

1624年3月11日、李適は韓明璉、奇益献らと共に、朝廷の使者を殺害し、寧辺で1万2000人の軍を編成して反乱を開始した。反乱軍は平壌に駐屯していた都元帥張晩の官軍を避け、黄海道を経由して漢城へ南下した。李適は黄州で鄭忠信と南以興の部隊を撃破し、防衛使の李重老を戦死させた。

3月26日、李適の軍は開城を陥落させ、この情報は仁祖と朝廷に届いた。その結果、仁祖と朝廷はその夜漢城を放棄し、水原・天安を経て忠清道の公州へと逃避した。3月29日、李適軍は漢城に進攻し、景福宮の旧址に駐屯しながら、宣祖の十男である興安君李瑅を王として擁立した。しかし、李適の指揮下にあるものの、彼の捕虜とした朴栄臣が抵抗を示すと、李適は彼を惨たらしく殺害してしまう。

その後、官軍の鄭忠信が漢城郊外から迎撃してくると、反乱の流れは急速に変化していった。李適は部隊を分け、張晩と林慶業の部隊を包囲し攻撃を試みるが、敗北を強いられた。逃げる途中で京畿道広州へと向かうが、張晩と南以興ら率いる官軍に追跡され、部隊は完全に散り散りになってしまった。この混乱の最中、広州牧使の林檜が命を落とした。

逃げる李適は4月1日、李栴や韓明璉と共に部下の奇益献と李守白に殺害されてしまった。この結果、反乱はあっけなく鎮圧され、李適が擁立した王、興安君李瑅もまた、王子の身分でありながら処刑される運命を辿った。

まとめ

この反乱は、李氏朝鮮の内乱の歴史において特筆すべき出来事であり、権力を巡る争いや、それに伴う悲劇を浮き彫りにする。李適の反乱は、不満が積もり積もった果てに起こったものであり、権力の不安定さを示す象徴的な事件となった。

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