咸鏡道

咸鏡道（ハムギョンド）

咸鏡道は、李氏朝鮮における行政区分であり、朝鮮八道の一つとして知られています。その名称は、主要都市であった咸州（ハムジュ）と鏡城（キョンソン）に由来します。

歴史

咸鏡道は、朝鮮半島の東北部に位置し、古くは高句麗、渤海といった国家の支配下にありました。渤海滅亡後は、その北部が女真族の地となり、朝鮮半島の王朝が支配したのは南部のみでした。高麗時代末期から李氏朝鮮初期にかけては、東北面（トンブクメン）と呼ばれていました。

1413年、太宗（テジョン）によって永吉道（ヨンギルどう）と改名されました。これは、太祖李成桂（イ・ソンゲ）の故郷である永興（ヨンフン）と、吉州（キルチュ）という地名に由来します。その後、1416年には咸吉道（ハムギルどう）と再度改名されました。

咸鏡道という名称が初めて登場したのは1467年ですが、1470年には李施愛（イ・シエ）の乱が発生し、その首謀者である李仲和（イ・チュンファ）の出身地であった咸興（ハムン）が府から郡へと格下げされたため、観察使営も永興に移され、永安道（ヨンアンどう）と改称されました。

1498年、燕山君（ヨンサングン）の時代に、再び咸鏡道へと名称が戻されました。

経国大典による道内地方区分

咸鏡道は、以下のような行政区分に分けられていました。

府（プ）：長官は府尹（プユン）
永興府（ヨンフンブ）
大都護府（テドホブ）：長官は大都護府使（テドホブサ）
安辺大都護府（アンピョンテドホブ）
都護府（トホブ）：長官は都護府使（トホブサ）
鏡城都護府（キョンソントホブ）、慶源都護府（キョンウォントホブ）、会寧都護府（フェリョントホブ）、鍾城都護府（チョンソンドホブ）、穏城都護府（オンソンドホブ）、慶興都護府（キョンフンドホブ）、富寧都護府（プニョントホブ）、北青都護府（プクチョントホブ）、徳源都護府（トグォントホブ）、定平都護府（チョンピョントホブ）、甲山都護府（カプサントホブ）
郡（クン）：長官は郡守（クンス）
三水郡（サムスクン）、文川郡（ムンチョングン）、高原郡（コウォングン）、端川郡（タンチョングン）、咸興郡（ハムフングン）
県（ヒョン）：長官は県監（ヒョンガム）
洪原県（ホンウォンヒョン）、利城県（イソンヒョン）、吉城県（キルソンヒョン）、明川県（ミョンチョンヒョン）

出身有名人

李施愛（イ・シエ）：李施愛の乱の首謀者

関連項目

二十三府制
咸鏡南道 (日本統治時代)
咸鏡北道 (日本統治時代)
朝鮮民主主義人民共和国の地方行政区画
咸鏡南道
咸鏡北道
両江道

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